幻想古書店で珈琲を 【番外編】賢者からの贈り物(★★★★☆)

幻想古書店で珈琲を 【番外編】賢者からの贈り物 (ハルキ文庫)

幻想古書店で珈琲を 【番外編】賢者からの贈り物 (ハルキ文庫)


◼あらすじ
本や人との「縁」で紡がれた不思議な古書店『止まり木』。この店で働く名取司は、自分の小説を出版するため、懸命に執筆を続けていた。そのひたむきな姿に触発され、古書店の店主であり、魔神の亜門は本の出版というものに興味を抱き、ある場所へと向かった―。(「第一話亜門、初めての同人誌即売会」より)。人気キャラクターが織りなす、笑えて、心がほっこり温まる五つのストーリー。幻想古書店シリーズ、ファン待望の番外編、はじまり、はじまり~!!

◼感想
最終巻のその後を描く番外編。司と亜門、コバルト、アスモデウスがメイン。第一話は亜門が初めてコミケへ行くお話、司が必死に止めようとするのが面白かった(笑)「腐女子」を「婦女子」に変換してしまうような亜門が汚れなくてひと安心。亜門が楽しめたなら何より。
第二話は自由奔放なコバルトが本領を発揮、結局のところあれは司の夢なのか本当に不思議な世界に行ってしまったのか。幕間の三谷が出会った男性も謎のままで気になる…。第三話は司がアスモデウスに振り回される話(笑)やはり亜門が一番だが司とアスモデウスのコンビも好きです。本がきちんと持主の元へ戻ってめでたしめでたし。また司たちの今後が読みたいです。

君がいた美しい世界と、君のいない美しい世界のこと(★★★★☆)

君がいた美しい世界と、君のいない美しい世界のこと (電撃文庫)

君がいた美しい世界と、君のいない美しい世界のこと (電撃文庫)

◼あらすじ
高校を卒業したばかりの春休み。最愛の人である三日月緋花里を病で亡くし、失意に沈む僕のもとに一通の手紙が届く。「世界を『リセット』して、もう一度あたしに会いに来い」彼女らしい突拍子もない内容を訝しみながらも、僕は一縷の望みを懸け彼女を取り戻す旅に出た。運命を『リセット』するためには世界で一番美しいものを探し出さなければならないという。猫のかぶりものをした怪しげな男・クレセントを道連れに、彼女との想い出の場所をめぐる旅路の果て、たどり着いた『リセット』の真実とは―?ワガママで破天荒な彼女と僕の最高に幸せで甘苦い恋の顛末は、あなたの目で確かめてほしい。

◼感想
最愛の彼女・緋花里を病で亡くして落ち込んでいる日野の元へ一通の手紙が届くところから始まる切ないラブストーリー。クレセントと共に緋花里と過ごした思い出の場所へと足を運ぶことに、どのエピソードも甘酸っぱくて二人の幸せに満ち溢れている姿を想像できてしまうのが切ない。 緋花里の自分が死ぬなら好きな人も道連れにしたい、と思ってしまうのは自然なことのように思える。
二人の思い出を辿っていく中で「リセット」の意味に気付いたユウト。緋花里からの最後のメッセージはユウトを大切に想う気持ちでいっぱいでうるっときた。ユウトは今後どのような道を歩のか、それが少し心配ではある。クレセントには「お疲れ様」と言いたい。

利他的なマリー(★★★★☆)

利他的なマリー (電撃文庫)

利他的なマリー (電撃文庫)

◼あらすじ
ここカスミシティでは、若者たちは株式会社のように自分をRELEASEという市場に上場し、時価が付けられる。そのカスミシティで事件が起こる。謎のアプリ“パノプティコン”が若者のデバイスにインストールされ、街がバトルフィールドに一変。他人を倒してその価値を奪う争いが始まったのだ。それは言わば億単位の金が平然と動く鬼ごっこ!そんな状況に突如巻き込まれたユウスケは、危機一髪のところをクラスメイトの少女マリーに助けられる。普段は孤立し、RELEASEというシステムからも逸脱しているマリー。はたして彼女は何者なのか。その事実が明かされるとき、もうひとつの真実が明かされる!?

◼感想
自分をRELEASEという市場で売り出し、お金を稼ぐカスミシティが舞台。舞台装置の歪みを上手く利用している作品だなと思う。ミステリアスなヒロイン・マリーの秘密が暴かれる度に事態は深刻化していく。彼女はなぜこれほどまでに世界を救おうとするのか、健気な姿に胸を打たれつつもつい疑問に思ってしまう。
最後の展開に関してはリリカの明るさに救われる部分が多かったなと。そりゃあこんな町にいたら精神崩壊しても不思議ではない、でも某キャラには自分の良さに気付いてほしかった。マリーの秘密を知ってもそばにいることを選択したカナタ、二人の未来に幸あれ。

これは経費で落ちません! 5 ~落としてください森若さん~(★★★★☆)

◼あらすじ
真夕が経理部に異動してきて一カ月半。異動直後にミスをしてからは、数字が怖くて仕方がない。そんな真夕のストレス発散を兼ねた趣味は、ヴィジュアル系バンドの追っかけだ。イチオシはCAROLINEのボーカル“アレッサンドロ”。追っかけ仲間からアレッサンドロも参加すると噂の、複数バンドの合同打ち上げに誘われ?森若さんをとりまく天天社員の人生模様。

◼感想
今回はサブキャラ視点の短編集。共感できるキャラもいれば理解不能なキャラもいて色々な考え方があるものだと思いながら読了。異動経験が数回あるので真夕の気苦労はよく分かる、森若さんみたいに優秀な人がいれば余計にプレッシャーになるよね。山崎は苦手なキャラ、こういうのが仕事場にいたら関わりたくない。一番はなんといっても馬垣だが。
平松さんは応援したくなるキャラ、自分の好きなことを自由にしてほしいです。妹と愛美はお金を返そうよ。田倉の話は本当にロマンチック、やってることは倫理的にアウトなんだけどね…。普段無愛想なキャラがここまで動揺する姿を見れるのは面白い、幸せになってほしいな。

異世界拷問姫7.5(★★★★☆)

異世界拷問姫7.5 (MF文庫J)

異世界拷問姫7.5 (MF文庫J)

◼あらすじ
これは櫂人やエリザベート、ヒナ達が過ごした日常、夢のように幸福な記憶―遠い日々。櫂人は悪夢に悩まされ、エリザベートは狂信者に押しかけられ、ヒナは行方不明になっていた?また、終焉回避後の『ある日のこと』、櫂人とヒナの提案で、エリザベートの治安維持部隊隊長就任三周年目を祝う宴が開催されることになり…?天然たらしっぷりを発揮するイザベラ?のろけるジャンヌ?ヴラドにウザ絡みする『肉屋』?会場はカオスな様相を呈するが…?Web連載短編に書き下ろし小説&イラストを加えた豪華短編集。これは幸福の断片、そして先へ繋がる物語。

◼感想
今回は短編集。現在が過酷な状況だからこそ何気ない日常が眩しくて切なくなる。異世界に来たばかりの悪夢にうなされている櫂人が初々しい、後にエリザベートの為に壮絶な戦いに挑むようになるとは思えない。ヒナは正に癒し、あのエリザベートですらヒナには弱いもんな~。ちょこちょこと登場する「肉屋」の存在が物悲しくて、終盤の聖女の言葉がもっと早く届いていたらな…。
メインキャラ勢揃いの話はあのキャラの仕業でしたか…、とりあえずイザベラとジャンヌのやり取りにニヤニヤしましたとも。孤独ながらも再び歩み出すエリザベートがまた櫂人たちと出会えることを祈ってます。

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1 (★★★★☆)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1 (オーバーラップ文庫)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1 (オーバーラップ文庫)

◼あらすじ
ある日突然、超能力に目覚めた佐護杵光。そしてその力を狙う悪の組織が、突如彼の前に現れ―なかった。隣の家の幼馴染が実は退魔師の子孫だと発覚し―なかった!謎の美少女が転入し―なかった!!平和過ぎる日常に逆ギレした佐護は、自分自身が秘密結社になる事を決意する。日本中を探して見つけた有能美女・鏑木栞を副官に引き入れ秘密結社「天照」を創設、資金調達事業も成功。蓮見燈華、高橋翔太という新メンバーも加えたところ、ついに世界を滅ぼす魔王が現れ―なかった!そこで佐護は、とある計画を思いつくことになり…?ひとりの最強能力者が紡ぐ、圧倒的マッチポンプギャグコメディ、開幕!!書き下ろし特別編も収録!!

◼感想
超能力が使えるようになった→でも何も起こらない→いっそのこと自分で秘密結社を作ってしまえ!、そんな感じのお話。主人公・佐護の非日常に対する憧れが凄い、優秀なのに変な方向にベクトルが突き抜けてしまってるせいで正に紙一重。鏑木も同類。
佐護が作り上げていく天照VS悪の組織の対決はベタだけど面白い。 燈華と翔太の甘酸っぱい関係も見所の一つ、二人が佐護の正体を知ってしまったらどうするんだろうか。無口なマスターは美味しい役どころだよね。最後はCIAも出てきて一気に物語が広がりましたがどうやって収集するのか気になる。

続・この素晴らしい世界に爆焔を!2 この素晴らしい世界に祝福を!スピンオフ わがままバスターズ(★★★★☆)

◼あらすじ
「このすば」大人気スピンオフシリーズ第二弾!この世界に溢れる“わがままな”依頼をめぐみんたちが解決!?カエルとの縁は永遠。カエルの王、キングトードを討伐せよ!―『王都に雨を!』セシリー、ゼスタ大暴れ!邪悪なエリス教徒を討伐せよ!?―『アルカンレティアに稲妻を!(前編)』そのスライムの名はチャッピー。やはりアクシズ教徒はやべえ奴しかいないのか。―『アルカンレティアに稲妻を!(後編)』「マリモでも分かる生物学」著者:バートン教授、暴走の末、少女に獣の○○○を斬らせ…。―『魔獣の森に斬光を!』そしてめぐみんは一つ、大人になる。―『宝石獣に爆焔を!』

◼感想
めぐみんが主人公のスピンオフシリーズ2弾。めぐみん・ゆんゆん・アイリスのパーティで依頼を解決していく形式。不思議なことにアクシズ教徒と一緒だとめぐみんがまともに見える(笑)アイリスはどんどんめぐみんに感化されてやんちゃなお姫様になってますね、ツッコミ役のゆんゆんが大変。オチが爆裂魔法なのが実にめぐみんらしい。
「王都に雨を!」は最後にいきなり教授が良い話をし始めるからずるいな~と思った。アルカンレティアの話はまさかの喋るスライムが登場、朧気な記憶だけどあのキャラでいいのだろうか。締めはいつものメンバー、しっくりくるけどゆんゆんとアイリスに活躍してほしいから続編希望です。