世界で一番かわいそうな私たち 第三幕 (★★★★☆)

◼あらすじ
フリースクール〈静鈴荘〉に通う岩瀬知香は、中学校への復学を強要する母親との問題に悩んでいた。彼女が学校に行けない「本当の理由」を告げられた新米教師の佐伯道成は、先輩教師の舞原杏と救済の道を探す。そして明らかになる杏に隠された「世界で一番かわいそうな夫婦」の秘密。戦後最大の未解決事件が起きた十年前に時計の針は巻き戻され、すべての罪は白日の下にさらされる。シリーズ完結巻!

◼感想
シリーズ完結。杏と詩季の謎も明かされ、全ては道成が起こしたバスジャック事件に繋がっていた。過去に囚われている杏、詩季に対しては八つ当りしているようにみえてしまう…。それでも杏を大切に思う詩季が優しくて、道成の働きかけで夫婦の関係が一歩進んだと思いたい。いつか詩季の想いがきちんと杏に届いてほしい。
道成と詠葉はやっぱり切ない展開になってしまった…。道成は自首することを選択するとは思ってましたが、真実を打ち明けても「行かないで」という詠葉が可哀相過ぎて心が締めつけられるようだった。あとがきを読んでいると未定だけど続きもあるかも?な雰囲気だったので少し期待してます。

ようこそ実力至上主義の教室へ11(★★★★☆)

◼あらすじ
初めて出た退学者の衝撃冷めやらぬ中、1年最後の特別試験『選抜種目試験』がついに告知された。内容は総合力が問われるもので各クラスは筆記試験、将棋、トランプ、野球等、勝てると思う種目を10種選抜。本番では1クラスを相手に、ランダムに選択された7種の種目で争うというものだ。また各クラスには1名司令塔が存在し、勝てば特別な報酬が得られるが負ければ退学となるらしい。綾小路は自ら司令塔に立候補。そして坂柳が望んだ通り、AクラスとCクラスとの試験対決が決定する。「だが私は楽しみになったぞ綾小路。これでやっと、おまえの実力を見られるんだからな」綾小路VS坂柳の激戦必至の一騎打ち始まる!

◼感想
シリーズ11冊目。1年最後の特別試験による綾小路VS坂柳の一騎討ちがメイン、坂柳がメインヒロインっぽくて可愛かった!最後に2人で一緒に仲良く帰る場面が微笑ましい。せっかくの勝負があいつのせいで台無しになったのは残念ですが…。堀北の成長スピードも頼もしい、ヒロインというよりは相棒のポジションがしっくりきます。
恵にも見せ場があったし、平田も復活して良かった。櫛田のイラストがある意味凄い(笑)なんたかんだいいつつ龍園も綾小路に触発されて動き出しましたし、2年生編も波瀾万丈な予感。綾小路にはぜひ月城をぶちのめしてほしい。続きが楽しみです。

准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る (★★★★☆)

◼あらすじ
「怪異が潜むのは、『日常』と『日常』の隙間にある『非日常』だよ」―怪異収集家の准教授・高槻と、嘘を聞き分ける耳を持つ大学生・尚哉の下に、小学校で噂のコックリさんの調査依頼が。「あなたは誰?」という質問の答えは、かつてそのクラスにいた児童の名で―。ほか、尚哉の耳に異変が起こる中、有名女優から幽霊相談が持ち込まれて…!?高槻の謎めいた過去も語られ、ますます目が離せない、大人気民俗学ミステリ第2弾!

◼感想
シリーズ2冊目。コックリさん、映画撮影の邪魔をする幽霊、「奇跡の子供」と敬われる少女、などを今回は調査していく。コックリさんの話は子供達に非はないものの先生側の言い分も分かるような気がします、何気に最後のは怪異なのでは…?「スタジオの幽霊」はあそこまで当の本人が必死だと切実で責めづらい、そしてまたしても最後に本物パターン。
途中で尚哉が耳に変化があった際に高槻に捨てられるかもしれないと思ってなかなか言い出せなかった尚哉の心情が切なかった。でも裏を返せばそれだけ尚哉にとって高槻の存在が大きくなっているということで、最後の高槻の「僕は絶対に、君を一人になんてしない」という言葉が素敵でした。数年後に高槻のゼミに入ってそう(笑)

俺を好きなのはお前だけかよ(11) (★★★★☆)

俺を好きなのはお前だけかよ(11) (電撃文庫)

俺を好きなのはお前だけかよ(11) (電撃文庫)

◼あらすじ
最悪だ…。どうして、こんなことになっちまったんだよぉぉぉぉ!!…え?何が起きたかって?あの男だよ。驚異のラブコメ主人公である、あの男が、再び西木蔦高校にやってきやがったんだよ!!開催中止の危機を回避し、平和に行われるはずだった『繚乱祭』。だがあの男を中心に、嵐は容赦なく西木蔦に吹き荒れる…それは一人の少女の願いと共に。まあ流石に俺はもう面倒事はこりごり―って引き受けんのかよ、パンジー!!しかも、その謎の決め顔とポーズで、てめぇは一体何を企んでやがる!?

◼感想
シリーズ10冊目。今回は留学してしまうホースの為に月見とジョーロが結託して繚乱祭での想い出作りに走り回る巻。チェリーがやたらとドジっ子っぷりを発揮させてジョーロの計画を邪魔するかと思ったらそういうことだったんだね…、サザンカが協力するのも無理はない。ホースの留学期間のオチに思わず苦笑。
そしてサザンカの告白が…!この子本当に可愛い!最後のホースの助言が意味深過ぎて不吉ですな、パンジーが一華と知り合いみたいなことも関係してくるのかな?ジョーロの修学旅行に対する思いも波乱の展開を予感させます。次が気になる…!

ばけもの好む中将 八 恋する舞台(★★★★☆)

◼あらすじ
帝に舞を披露したことで注目され、突然「モテ期」が到来した宗孝。女房たちから何通もの恋文をもらうが、和歌が苦手で返事に悩む中、中将宣能は、筆跡から書き手の感情が読み解ける妹の初草に、文の鑑定をしてもらおうと言い出し……。一方、九の姉が振り付けた桜の舞で大成功をおさめた稲荷社の専女衆は、次の演目として「藤の舞」を計画していた。手伝いをすることになった宗孝だが……?

◼感想
シリーズ8冊目。前回帝に舞を披露したことから何通もの恋文を貰った宗孝、そんな宗孝の恋の可能性を潰していく宣能が面白い。宗孝に幼い恋心を抱く妹の為でもあるし、大事な友達が変な女に引っ掛からない為、そして宗孝と遊びたい自分の為なんだろうな(笑)父への反発が相変わらず強い宣能ですが、宗孝の言う通り父には父の考えがあって冷酷な訳ではないような気がします。
東宮のやんちゃっぷりは微笑ましい、はたして初恋は実るのか。今回も本当の怪異ではありませんでしたが、今までで一番もしかしたら…と思ってしまうような雰囲気でした。最後は宗孝と宣能の仲良く会話している場面で終了、ずっとこんな二人をみていたいな。

傀儡のマトリョーシカ Her Nesting Dolls (★★★★☆)

傀儡のマトリョーシカ Her Nesting Dolls (講談社ラノベ文庫)

傀儡のマトリョーシカ Her Nesting Dolls (講談社ラノベ文庫)

◼あらすじ
文芸部の阿喰有史はある使命を受け、友人(部員)を集めていた。勧誘対象の一人、雑賀更紗がいじめをうけているとの情報を得る。半ば強引に雑賀を入部させ、他の部員達の協力のもと、いじめの犯人を捕まえることに成功。だがその犯人はカースト上位の池泳の命令で雑賀への嫌がらせをしていたという。池永に会いに行くと、彼女もまた何者かに脅されていた。脅迫の連鎖はさらに続き、首謀者の影も見つけられない。そんな頃、文芸部員宛に「捜査を止めなければきみたちの秘密をバラす」という不審なメールが届く。脅迫するに足る秘密を、犯人はどう入手しているのか?そしてその脅迫に隠された真の目的とは!?事件の結末に驚愕する学園ライトミステリー!

◼感想
異彩を放っていた表紙が気になって購入。いじめを受けている生徒を助ける為に犯人探しを始める主人公の阿喰、犯人かと思われた人物も実は首謀者に脅されて操られていて…という展開が続いて次が気になって思わず一気読み。会話は独特のテンポがあるので好き嫌いが別れそう。犯人の好きな子に対する仕打ちが病んでいて引きました、そんなやり方で両想いになるわけないだろう。
主人公の阿喰が凄く個性的に描かれていて、人の顔の判別が難しい相貌失認であったり、他者や自分の中の感情に疎かったり。今まではそんな阿喰をお姉さんが支えていたのかな。でも決して冷酷な訳ではないので憎めないキャラ。これからは更紗とたくさん青春してほしい。

きみの世界に、青が鳴る(★★★★☆)

きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)

きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)

◼あらすじ
真辺由宇。その、まっすぐな瞳。まるで群青色の空に輝くピストルスターのような圧倒的な光。僕の信仰。この物語は、彼女に出会ったときから始まった。階段島での日々も。堀との思い出も。相原大地という少年を巡る出来事も。それが行き着く先は、僕と彼女の物語だ。だから今、選ばなければいけない。成長するとは、大人になるとは、何なのかを。心を穿つ青春ミステリ、堂々完結。

◼感想
シリーズ6冊目にして完結。大地を巡る問題はどう決着をつけるのか気になってましたが、最後まで希望を捨てずに最善を尽くした真辺の導き方が一番良かったのではないかと思います。自分勝手な印象が強かった安達も堀が話した猫のエピソードで印象が変わりました、彼女なりに堀を悲しませない為にとった行動だと思いたい。
堀もいいけどやっぱり七草の隣は真辺だとしっくりくる。だからこそ最後の展開で階段島にいる七草のこれからを考えると少し切なくなる、七草が少しでも幸せでいてくれると嬉しい。哲学的な雰囲気の言葉が多くて、もっとシンプルに考えてもいいんじゃない?と思うこともありましたがそれがこの物語の魅力の一つだったんだなと思います。お疲れ様でした。