おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱 (★★★☆☆)

天才が紡ぎ出す黄泉の視界(ビジョン)に恐れ、畏れよ――。「ひさしや、ミミズク」今日も座敷牢の暗がりでツナは微笑む。山中の屋敷に住まう下半身不随の女の子が、ぼくの秘密の友達だ。彼女と会うには奇妙な条件があった。「怖い話」を聞かせるというその求めに応じるため、ぼくはもう十年、怪談蒐集に励んでいるのだが……。ツナとぼく(ミミズク)、夢と現(うつつ)、彼岸と此岸が恐怖によって繋がるとき、驚天動地のビジョンが""せかい""を変容させる――。
SFっぽい雰囲気もありつつ結構がっつりホラーだった。ミミズクとツナの10年も続く交流は微笑ましくもり、ツナが背負っている運命を考えると不安な気持ちにもなりました。ストーリーの合間に出てくる怪談話は地味に怖いものばかりですね。ミミズクもミミズクで亡くなった両親のことで悩みを抱えていたりと辛い境遇でしたが、イリヤや春美さんなど彼の理解者が優しい人達であったことは大きな救いでしょう。
読み進めていく内にバッドエンドしか想像できませんでしたが、ラストは幸せそうな二人を見れてひと安心。シズさんも良かったね…!ボーイミーツガールものとしては好みの作品でした。