幸せの青い贈りもの(★★★☆☆)

幸せの青い贈りもの (メディアワークス文庫)

幸せの青い贈りもの (メディアワークス文庫)

―この箱からは、人生を変える何かが出てきます。海沿いの街で将来の進路を悩む真由。海はどこにでも繋がっているのに、自分は一生この街から出られないのか。そんな中、見つけたのは不思議な文字が書かれていた箱。そこから出てきたのは、海を閉じ込めたペンダントだった。手作りの一点ものには作り手の想いが込められる。学生運動時代に手にした青い薔薇のハンカチーフ、太平洋戦争開戦直前、恋い焦がれた女性への最後の贈りもの…。これは、繋がる想いを辿る物語。
手作りの小物を通して語られる4つの物語。自分の人生を変える何かが出てくる箱、試しに一回やってみたいなと思いました。真由の進路に対しての不安は誰しもが抱えそうな等身大の女子高生の悩みで共感できる部分が多かったです。そんな彼女が受け取ったペンダントが最後のお祖母ちゃんの話へ繋がるとは思いませんでした。戦争というどうすることも出来ない現状のせいでエドワードたちの恋が実ることはありませんでしたが、時代を越えて大切な思い出として二人がお互いをのことを思い合っているのが素敵でした。
「青い薔薇のハンカチーフ」は小夜子サイドの話にうるっときてしまいました。あそこまで死を穏やかに受け止めることなんて私には無理だろうなぁ…。彼女の最後が幸せそうでそれが救いでした。