陰陽師 玉兎ノ巻(★★★★☆)

今回も、稀代の陰陽師・安部晴明と心優しき笛の名手・源博雅が活躍するほか、
酒をこよなく愛する法師陰陽師蘆屋道満や盲目の琵琶法師・蝉丸も登場。 月の蝕が起こる夜、奇異なる兎が晴明を呼ぶ―― 二本足で立ち、人の言葉を話す兎が探していたものとは。 今宵も晴明と博雅が、平安の都の怪異に挑む。
晴明と博正が酒を酌み交わしている姿を思い浮かべながら、ゆったりとした気持ちで読みました。二人の安定したやり取りが心地よい、互いに信頼しあっているのが伝わってきます。兎の正体はそういうことか、兎のついた餅を私も食べたいです。「輪潜り観音」での晴明の「人の哀しみを癒す術を持ってはいないのです」という台詞が心に残った、博正の優しさにより苦しんでいた霊は無事に成仏したけど晴明にだってどうしようもできないこともある。だからこそ今回のように博雅が晴明の隣にいることによって、晴明は博雅に支えられているんだなと。
道満がメインの「道満月下に独酌す」は、得体のしれない雰囲気を持つ道満に少し親近感がわきました。道満にもきちんと愛する女性がいたんですね、いつか二人で仲睦まじく一緒にいられる日がくるといいけど。