東都日報絵師の事件帖 帝都の夜に潜む罪(★★★★☆)

明治26年−帝都で若い女性の惨殺死体が発見された。東都日報の新米探訪・青海は幼馴染みで凄腕絵師の貴音に事件の話をするが…というお話。
記者(正確には探訪)+絵師の組み合わせでミステリーだと帝都探偵絵図シリーズを真っ先に思い浮かべてしまいます。全体的に読みやすく、サクッと読了。第一話の犯人が被害者を選んだ理由がちょっと強引かなと感じてしまった部分もありましたが。
絵師の貴音は「血みどろ貴音」の異名を持つほど凄惨な死体を描くのが得意で、本人も死体を描くという行為に魅入られている。実は伯爵家のご落胤で複雑な生い立ちから時折不安定になる貴音を心配して励ます青海、そんな二人の友情関係が微笑ましい。なかなか素直じゃない貴音ですが、「こいつがいるから、髑髏だの美人画だの、別のものも描く気はする、それだけのことさ」という言葉に青海に対する思いが伝わってきてニマニマしてしまいました。続きがあるなら読んでみたいです。