平安後宮の薄紅姫 二 宮廷去りし皇后宮と伊勢物語 (★★★★☆)

■あらすじ
怪異や難事件の駆け込み寺・薄紅の姫。中宮を狙う“鬼”の事件を落着させ、その昼の姿である末席の女房として念願の書司となった。一方、静かに読書にふけりたい夜の薄紅の元には、願いに反して親しくなった晴明の孫・奉親が訪ねてきては面倒に巻き込んでいく。そんなある日、彼女は後宮の蔵書破損をきっかけに密命をくだされた。後宮を去ってしまった皇后宮を連れ戻せ―と。後宮の祈祷も担う奉親とともに、この難題に挑むことに。物語知識を駆使するものの、皇后宮は断固として拒否し…。

■感想
シリーズ2冊目。伊勢物語を破損した犯人探しからここまでストーリーが広がっていくとは思わなかった。禎子が後宮を去った理由、嫄子が禎子を後宮に連れ戻したい真意、対立しているはずの二人の姫君の絆が素敵。互いを想っているからこそすれ違ってしまう、嫄子の最期は悲しいけれど禎子との時間をゆっくり過ごせて良かった。禎子様の男らしいキャラに惚れました。
物語をこよなく愛する薄紅によって二人の姫君が救われたといっても過言ではない。雨の中一晩中土下座をした奉親と義盛は本当に薄紅を信頼しているんだなと。一緒になって土下座する能信良いキャラしてる。嫄子から物語を書いてほしいと託された薄紅の今後が気になります。