次回作にご期待下さい(★★★★☆)

次回作にご期待下さい (角川文庫)

次回作にご期待下さい (角川文庫)

眞坂崇は、漫画専門の出版社で仕事に追われる、月刊漫画誌の若き編集長。落とし物を機に、彼はビルの夜間警備員、夏目と知り合い、奇妙な既視感を抱く。そんなある日、眞坂は偶然遭遇した火事で、建物に飛び込み、古い漫画雑誌を抱え戻ってきた夏目を目撃。不思議に思い、同期の天才変人編集者・蒔田と調べ始め、夏目がかつての人気漫画家と気づくが…。愛すべき「漫画バカ」達の、慌ただしくも懸命な日々と謎を描くお仕事小説。

漫画雑誌の若き編集長・眞坂とクセ者編集者・蒔田のコンビが魅力的。出版社は正に戦場といってしまっていいほど慌ただしくて、体力的にも精神的にもタフじゃないと無理だろうな。蒔田や田島工務店をはじめとして困ったちゃんばかりに振り回される眞坂をみてると応援したくなる。
夏目さんが雑誌を大事にしていた理由にジーンときたと同時に切ない気持ちになった。「次回」という言葉に支えられている作者はたくさんいるんだろうな。最後に担当が眞坂になったのも嬉しい。漫画バカたちの熱い思いがこもった1冊でした。