どうか、天国に届きませんように(★★★★☆)

どうか、天国に届きませんように (集英社オレンジ文庫)

どうか、天国に届きませんように (集英社オレンジ文庫)

オカルトに憧れる「僕」は、ある日の下校中、自分の指へ絡む黒い糸に導かれ、死体を見つける。特別な力を得た優越感に溺れた「僕」は死体を見つける行為にのめりこんでいくが…?偶然が偶然を呼び、不幸に魅入られた者たちは巡り合う。そして、彼らが抱く行き場のない願いと孤独は哀しく連鎖していき―。「僕は君を殺せない」の著者が贈る、サスペンス連作短編集。

最後までほの暗い救いのないストーリーだった。個人的にはハッピーエンドが好きだけど、この独特の雰囲気は結構好きです。不思議な力を持つが故にそれに振り回され、不幸な道を辿ってしまう登場人物たちの結末が物悲しい。ストーリーが進むにつれて前半部分での謎が解明され、話が繋がっていく構成は見事でした。
やっと出会えたのに八番と例の子が喧嘩してしまうとは…。八番が良い子だっただけに残念です、もし彼が無事だったら幸せな未来があったかもしれないのに。最後の彷徨い続ける「彼」と会いたいと思いつつも、その願いが「届きませんように」と語る彼女の心境が切なくて悲鳴のようだった。