■あらすじ
「令和の切り裂きジャック」と畏れられる殺人鬼・神無が、自分に愛を告げる女を手にかける理由は――相手の体を裂いてまで探しているものは、たったひとつだ。「人は、誰かに対して『愛してる』って言うだろ。でも、その愛って何処にあるんだろうと思って」探しものを見つけることができない青年の前に現れたのは、陶器人形のような美しい少年・御影。「それが欲しいなら、おいで。愛してあげる」神無が招かれたのは、都心にあってそこだけ異空間のような古びた洋館だった。ここで一緒に暮らすのだと、御影は平然と神無に告げる。そのあまりに強引な展開に戸惑う暇もなく、すぐに神無は身をもって御影の正体を知ることになる。御影は、ひとの生き血を吸う吸血鬼だったのだ。これは、罪を犯して人の道を外れ、罰の証の如くスティグマと呼ばれる刻印を身に宿した、異能の者達の、血塗られた戦いの物語。……究極のダークファンタジー、始動!
■感想
愛とは何なのか、過去のトラウマにより自分に愛を告げる女性を切り裂いてきた神無。今までの著者の作品と比べると主人公の設定がとても重い。それは相棒となる吸血鬼の御影も一緒で、自殺してしまった大切な弟の身体を食べてしまう。互いに必要としていたのは愛情であり二人は少しずつかけがえのない存在となっていく。そこら辺の友情関係はいつも通りで吸血シーンも含めてごちそうさまです。
たとえ劣悪な家庭環境のせいで傷ついていたとしても神無が人殺しであることに変わりはない。だけど自分の過去をきちんと振り返って受け止めようとする姿勢には好感が持てる。御影が時任にいった「どんな理由があろうと、罪は罪で過ちは過ちです」はその通りだと思った。二人にはこれからも仲良く暮らしてのほしいものです。