竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (★★★★☆)

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)
■あらすじ
「この杖、直してもらいます!」半人前の魔法杖職人であるイクスは、師の遺言により、ユーイという少女の杖を修理することになる。魔法の杖は、持ち主に合わせて作られるため千差万別。とくに伝説の職人であった師匠が手がけたユーイの杖は特別で、見たこともない材料で作られていた。未知の素材に悪戦苦闘するイクスだったが、ユーイや姉弟子のモルナたちの助けを借り、なんとか破損していた芯材の特定に成功する。それは、竜の心臓。しかし、この世界で、竜は1000年以上前に絶滅していた―。定められた修理期限は夏の終わりまで。一本の杖をめぐり、失われた竜を求める物語が始まる。第11回GA文庫大賞奨励賞受賞。

■感想
師の遺言によりユーイという少女の杖を修理することになったイクス。その杖に使われた「竜の心臓」を求めてイクス逹は奔走する。しっかりとファンタジーの世界を堪能できて満足。滅亡したはずの竜、ならば「竜の心臓」とは何かの暗喩なのか。少しずつ出される手がかりを元にイクス逹は真相にたどり着いていく。アグナスが優しかっただけに人間の醜さが露呈した形になったのが残念、彼の眠りが安らかなものでありますように。
トマは良い奴だけどユーイの言う通り立場が違えばどうしても分かり合えないこともある、それに気付けたユーイは聡い子だなと思いました。イクスはどう考えても院長の言葉通り優秀なので早く一人前の職人になってほしいものです。綺麗に終わってますがあとがきによると続きの準備もしているのだとか、気になります。