86―エイティシックス―(★★★★☆)

86―エイティシックス― (電撃文庫)

86―エイティシックス― (電撃文庫)

サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器“レギオン”による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。そう―表向きは。本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。“存在しない“第86区””。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜“有人の無人機”として戦い続けていた―。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遙か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官”となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる―!第23回電撃小説大賞“大賞”の栄冠に輝いた傑作、堂々発進!
個人的な意見としては大賞にふさわしい作品だったのではないかと。殺伐とした世界観と容赦なくキャラが亡くなっていく展開に心が痛みましたが確かにラストの一文で救われました。シン達の背負っている運命がとにかく悲しくて、それをどうにかしようともがいているのに何も出来ない現状に嘆くレーナは本当に優しい子でした。徹底した人種差別とそれを当然と思っている共和国の人間こそがクズ豚なのに…。
実際には会っていないのに機械を通じて会話を交わす過程で段々とレーナとシンの絆が深まっていくのが微笑ましかったです。後に大佐まで登りつめ、「鮮血の女王」と呼ばれるようになるレーナの成長ストーリーでもあるような気がしました。だからこそ最後の展開には本当に感動しました…!心の底から「良かったね」と言ってあげたい。綺麗にまとまっていますが続きがあるようなので楽しみに待ってます。