葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (★★★★☆)

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)
◼あらすじ
様々な種族がひしめき合い、“葡萄”のように国が乱立する大陸の小国ランタン。流浪の少年メルは、多言語を話せる特技ゆえに、豹人族の姫シャルネの教育係に抜擢される。己の奔放な振る舞いにも常に優しいメルに、徐々に惹かれていくシャルネ。そんな折、大国との政略結婚を控えた彼女は相手の王を怒らせ、婚姻は最悪の形で破談に。二国間の緊張が高まる中、次期ランタン王に任命されたのは、なんとメル!?王として彼が取った起死回生の策は“シャルネと結婚し、豹人族の協力を取り付ける”というものだった!言葉を操り、人を繋げ、敗戦必至の大戦に挑む。弱小王国の下克上ファンタジー、ここに開幕!スニーカー大賞金賞。

◼感想
正に王道ファンタジーといったところ、読みやすくてキャラクター達にも好感が持てる。多言語を話せる流浪の少年・メルが豹人族の姫・シャルネの家庭教師となり、最終的には小国の王にまで成り上がっていく。全ては国を守ることに命をかけたランタン王の言う通りだった、策士で熱い男といういかにも人気が出そうなキャラだけに途中退場が悔やまれる。
無邪気で逞しいシャルネは素直に可愛らしい、特にメルと結婚できることに喜ぶところとか。脇を固めるキリンやギンも頼もしいので今後メルの支えになってくれるでしょう。綺麗にまとまってますが、メルのランタン王としての様子をもう少し見てみたいです。

今昔百鬼拾遺 天狗(★★★★☆)

今昔百鬼拾遺 天狗 (新潮文庫)
◼あらすじ
昭和二十九年八月、是枝美智栄は高尾山中で消息を絶った。約二箇月後、群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服をまとっていた。この謎に旧弊な家に苦しめられてきた天津敏子の悲恋が重なり合い―。『稀譚月報』記者・中禅寺敦子が、篠村美弥子、呉美由紀とともに女性たちの失踪と死の連鎖に挑む。天狗、自らの傲慢を省みぬ者よ。憤怒と哀切が交錯するミステリ。

◼感想
中禅寺敦子と呉美由紀がコンビの三部作・天狗編。高尾山で行方不明になった友人を探している篠原美弥子と知り合いになり事件に巻き込まれていく美由紀達、他にも高尾山で行方不明者や遺体が発見されて事件は混迷していく。お嬢様ながらも自分の考えをしっかりと持ち、友人の為に啖呵を切る美弥子が逞しくて好感がもてます。
色々とやるせないし、腹が立つ事件だったなと。男尊女卑も同性愛も美由紀達の時代にかかわらず現代でも通じる部分があると思う。本当に巻き込まれた人が可哀相で私が思ったことはほとんど美由紀が代弁してくれました。すっきり!今後また美由紀には登場してほしいです。

ケーキ王子の名推理 4 (★★★★☆)

ケーキ王子の名推理 4 (新潮文庫nex)

ケーキ王子の名推理 4 (新潮文庫nex)

◼あらすじ
花の都パリを訪れた未羽と颯人。めくるめくスイーツを堪能し、セーヌ川をクルージングしながら極上のお料理に酔いしれるはずが、若き天才料理人ルイ・デシャンの登場で颯人のテンションが急降下↓帰国後、文化祭準備にはりきる未羽。なのに颯人の様子がおかしくて…この関係、どうなるの?夢に恋に悩むとき、甘~いケーキは救世主。世界に一つだけの青春スペシャリテ第4弾。

◼感想
シリーズ4冊目。砂糖のように甘い二人の恋模様にキュンキュンしっぱなしでした。パリ旅行に文化祭とイベントが盛り沢山、色々迷走して未羽に作品を酷評される颯人が憐れ。文化祭では途中で漣が未羽に告白したりなど颯人的には気が抜けない回だったと思います。嫉妬を爆発させて未羽に掴みかかってきた葵とやらは漣の婚約者なのか…?
お菓子で告白とかロマンチック…!未羽をイメージして作ったお菓子の説明が甘過ぎてなんかムズムズしたよ!新キャラのルイ・デシャンはまた絡んでくるのかな?恋人同士になった二人の今後も気になるので続編希望です。

妖狐の執事はかしずかない 3(★★★★☆)

妖狐の執事はかしずかない 3 (富士見L文庫)

妖狐の執事はかしずかない 3 (富士見L文庫)

◼あらすじ
丘の上の幽霊屋敷“黄昏館”。その当主となった高町遥は、妖狐の執事・雅火とともに、あやかし事件を収める街の顔役だ。鎌鼬の料理人・疾風を新たな従者に迎え、時たま遥の食事係をかけた雅火と疾風の激突もありつつ、館の生活はより賑やかに。そんな折、遥の学友が遊びに来ることになる。あやかしよりも人に慣れない遥は大慌て。その上あやかし事件まで持ち込まれ、おもてなしを同時にこなすことになり…!?主従逆転コンビの絆と、当主の器が試される?心温まるあやかし物語、第3弾!

◼感想
シリーズ3冊目。今回は東の重鎮であるヴァンパイア伯爵の元へ四季諸侯巡りで訪れることに。そこには綾音もいてやたらと遥にちょっかいをかけてくる。はっきり言って綾音はめんどくさい性格だなと(笑)でも前当主のみすずとの思い出を大切にしていて、そんな彼の思いを汲んで受け止める遥が格好良かった。まだ従者にはなってないけど、黄昏舘に戻ってきただけ大きな進歩。
友人である広瀬との別れも経験してまた一歩成長した遥、広瀬良い奴だった…!クロスケも良かったね…!遥の「慰めてよ」に動揺する雅火が可愛い。ミレイも黄昏舘で働くのかな?続きが楽しみです。

公女殿下の家庭教師3 魔法革命で迷える聖女を導きます(★★★★☆)

◼あらすじ
王立学校に入学して3ヶ月。アレンは、家庭教師業の傍ら、ハワード・リンスター両公爵家による合同商社立ち上げの責任者という大役を任されることに。公女殿下ティナたちもまた前期試験を控え、慌ただしい日々を過ごしていた。そんな中、ハワード家の次期公爵であり、王立学校の生徒会長でもあるステラは、妹であるティナたちの急成長を目の当たりにしたことで、すっかり自信を失ってしまい―!?「…兄さん!ステラが…いなくなったんです」無自覚規格外な教師が、迷える少女の歩む道に灯りを点し、その手を導く魔法革命ファンタジー!

◼感想
シリーズ3冊目。今回はティナの姉・ステラがメイン、前巻でフラグがたってたので概ね予想通りの展開。真面目で責任感が強いだけにティナ達の急成長に嫉妬してしまうステラ、ハワード家の当主になれるだけの才能はないと父親から言われたこともあって自信を無くしてしまう。アレンとのデートが素敵、ティナ達やリディヤと違ってステラと一緒の時は落ち着いた雰囲気でいちゃついてますね(笑)
フェリシア視点のスピンオフも面白そう。カレンとのバトルは熱い展開でした、ステラの努力が報われて良かった。ステラにはぜひともアレン争奪戦を頑張ってほしいです。

時をかける眼鏡 魔術師の金言と眼鏡の決意 (★★★★☆)

◼あらすじ
嵐の直撃を受けたマーキス島には農作物や建物、人的な被害の爪痕が深く残った。その災害復興に必要な労働力確保のため、ロデリック王は遊馬の進言を受け入れ、囚人たちの更正に取り組むよう宰相のフランシスに指示する。国を復興させるために学び、働き、良き心を一欠片でも持っていることを示した者は、たとえ罪人であっても再び国民のひとりとみなそうとロデリック王。さらに遊馬は、災害復興にかかる資金を集めるため、マーキス島の「観光資源」を発掘し有効に使うべきと進言し、例えば伝説の王子が閉じ込められていた地下牢も、異国から見物客が集まる良い「観光スポット」になると提案したところ、ロデリック王もフランシスもそれを妙案だと受け入れ、「観光地図」の作成をクリストファーと遊馬に命じる。マーキス島に来て初めての休日をもらった遊馬は、魔術師ジャヴィードに会いに行くのだが、そこで「南からの風の備えよ」とロデリック王に伝えるよう言われて・・・!? 大人気!法医学者が描くタイムスリップ法医学ミステリー第8弾!

◼感想
シリーズ8冊目。前回の嵐による被害が未だに残るマーキス、少しでも国を早く復興させる為の遊馬の案が面白い。地下牢の囚人ツアーか…。自分が自由に行動することによってマーキスの未来を変えてしまうのではないか、と不安になる遊馬。ジャヴィードのアドバイスで立ち直ってくれてひと安心、個人的には遊馬とクリスの師弟コンビが好きなのでまだ続いてほしいです。
フランシスは良い意味で変わりましたね~、確かにツンデレ(笑)後半はとある病原菌によりシリアスになりましたが無事で良かった!遊馬はよく頑張りました。次回も楽しみです。

友人キャラは大変ですか? (7)(★★★★☆)

 

友人キャラは大変ですか?7 (ガガガ文庫)

友人キャラは大変ですか?7 (ガガガ文庫)

 

 ◼あらすじ

連絡の途絶えたシズマを追って、異界に突入する火乃森龍牙と仲間たち。もちろん友人キャラの俺、小林一郎も一緒だ。なんてったって、シズマは俺の息子(育ての意味での)。普通に心配なのだ。異界の意外な姿に驚いたのも束の間、俺たちはキュウキ陣営の襲撃を受ける。ええい、ここが正念場だ!第三部以降ややこしくなっちまったが、元凶のキュウキをぶっとばせば龍牙の異能バトルストーリーはめでたく完結、俺の本来の居場所(日常パート)も取り戻せるって寸法よ!―大人気名助演ラブコメ、佳境を迎える第7弾!

◼感想
シリーズ7冊目、キュウキ編完結。ピンチだったシズマですが満身創痍ながらも生きていてひと安心、真面目で優秀な子で皆から愛されるのも分かる。今回は正に総力戦で龍牙達側や三姫側達も一丸となってキュウキを倒す熱い展開でした。皆急速に仲良くなっとる。屡贄も無事で雪宮良かったね!ていうかまともな将軍屡贄しかいないね!
そして大きな爆弾を最後に落として終了。まだ続くのは嬉しいけど今まで活躍の場がなかったあの子があんな立ち位置だったとは…。小林の意志とは裏腹に完全に主人公ポジションになってるけど次回からどんな風に立ち回っていくのか楽しみです。