利他的なマリー(★★★★☆)

利他的なマリー (電撃文庫)

利他的なマリー (電撃文庫)

◼あらすじ
ここカスミシティでは、若者たちは株式会社のように自分をRELEASEという市場に上場し、時価が付けられる。そのカスミシティで事件が起こる。謎のアプリ“パノプティコン”が若者のデバイスにインストールされ、街がバトルフィールドに一変。他人を倒してその価値を奪う争いが始まったのだ。それは言わば億単位の金が平然と動く鬼ごっこ!そんな状況に突如巻き込まれたユウスケは、危機一髪のところをクラスメイトの少女マリーに助けられる。普段は孤立し、RELEASEというシステムからも逸脱しているマリー。はたして彼女は何者なのか。その事実が明かされるとき、もうひとつの真実が明かされる!?

◼感想
自分をRELEASEという市場で売り出し、お金を稼ぐカスミシティが舞台。舞台装置の歪みを上手く利用している作品だなと思う。ミステリアスなヒロイン・マリーの秘密が暴かれる度に事態は深刻化していく。彼女はなぜこれほどまでに世界を救おうとするのか、健気な姿に胸を打たれつつもつい疑問に思ってしまう。
最後の展開に関してはリリカの明るさに救われる部分が多かったなと。そりゃあこんな町にいたら精神崩壊しても不思議ではない、でも某キャラには自分の良さに気付いてほしかった。マリーの秘密を知ってもそばにいることを選択したカナタ、二人の未来に幸あれ。