思い出の品、売ります買います 九十九古物商店(★★★☆☆)

下駄を鳴らして歩きたくなる温泉の町、箱根強羅。のどやかな軒並みの中に、その店はある。店主は浮世離れした美しい女性。古物商なのだが、扱う品は変わっている。それぞれが次の持ち主を選ぶというのだ。心ある器物、いわゆる付喪神なのだった。最近出入りする青年には全てが驚くことばかり。だが彼は知ることになる。大切にされた道具には特別な思い出がこもっていることを。身近なものが愛おしくなる、優しさに満ちた物語。
使い捨ての物が増えていく中で古い物の大切さに気付かせてくれるようなストーリーでした。著者の別シリーズである「ようするに怪異ではない」のハルがこのお店に行ったら面白そうだなと思いました(笑)お気にいりキャラは小町たちから先輩と言われている兎、口は悪いけど縁之助と小町の縁をしっかりと繋ぐために頑張ってくれた優しいところにジーンときました。力の使い過ぎで最後はお休みモードでしたが大丈夫かな。
主人公の縁之助は最初は嫌味な奴だなと思う時もありましたが、最後はラブゴメの主人公のように一途な奴で応援したくなりましたとも。先輩のおかげで怒涛の展開だった。小町と幼い縁之助の出会いのエピソードが素敵でした。妖と人間の恋愛は色々と障害があるかもしれませんが末永くお幸せに。