尾木花詩希は褪せたセカイで心霊を視る (★★★★☆)

久佐薙卓馬は廃墟と化したデパートの屋上遊園地で、傷だらけの古いカメラを持った不思議な少女―尾木花詩希と出逢う。卓馬の通う高校で“心霊写真を撮ってる変わった女”と噂される詩希に「屋上遊園地に出るといわれる“観覧車の花子さん”を撮ってほしい」と依頼するのだが、「幽霊なんていない」と取り合ってもらえない。しかし、諦めきれない卓馬は写真部を訪ね、詩希を捜そうとするのだが、彼女がいるのは“心霊写真部”だと教えられて…。卓馬が逢いたいと願う“観覧車の花子さん”を、詩希は写すことができるのか―。少年の想いが少女の傷を癒す、優しく切ない青春譚。
これは良いボーイミーツガールもの。ストーリーもイラストも個人的に好みでした。最近では写真も携帯で済ましてしまうことがほとんどですが、こういう小説を読むと古いカメラもいいな〜と思います。 意識不明の姉を救いたい卓馬とモノクロの世界から抜け出したい詩希。 卓馬に段々と心を許して懐いていく詩希が可愛かった。
それにしても卓馬のお姉さんの行動は分かりにくい。まぁ最終的にはきちんと目覚めて卓馬の転校も取り止めになりそうでめでたしめでたし。大地との友情関係や古森のキャラも良かった。いつか詩希が見る世界が色鮮やかなものになっていますように。