水の後宮

水の後宮 (メディアワークス文庫)

■あらすじ
後宮佳麗三千人の容疑者に、皇子の密偵が挑む。本格後宮×密偵ミステリー。入宮した姉は一年たらずで遺体となり帰ってきた――。大海を跨ぐ大商人を夢見て育った商家の娘・水鏡。しかし後宮へ招集された姉の美しすぎる死が、水鏡と陰謀うずまく後宮を結びつける。宮中の疑義を探る皇太弟・文青と交渉し、姉と同じく宮女となった水鏡。大河に浮かぶ後宮で、表の顔は舟の漕手として、裏の顔は文青の密偵として。持ち前の商才と観察眼を活かし、水面が映す真相に舟を漕ぎ寄せる。水に浮かぶ清らかな後宮の、清らかでないミステリー。

■感想
後宮で亡くなった姉の死の真相を突き止める為に皇太弟・文青の密偵として後宮で働くことに。大河に浮かぶ後宮、とだけあって情景描写が綺麗。宮女の命は軽く扱われる、という過酷な環境の中で様々な人間の思惑が交錯して事件を複雑にしていく。そんな中でも水鏡を妹のように気にかける狸才人や堅物で真面目な黄宮調など水鏡に寄り添う人間が優しい人達で良かった。
皇子・文青との色づき始めた恋も気になるところ。自分の店を大きくしたい、という夢を持つ水鏡のことを考えて自分の好意に蓋をしている文青さんマジでイケメンです。水鏡にとって綺麗で優しい姉だった水蓮の本当の姿、事件の黒幕などまだ未解決なので続編希望です。