宝石商リチャード氏の謎鑑定 輝きのかけら(★★★★☆)

宝石商リチャード氏の謎鑑定 輝きのかけら (集英社オレンジ文庫)

■あらすじ
大学卒業後、岡山の中学校教師として理科部顧問を務める谷本晶子と生徒の日常(「結晶の姫君」)。ヴィンセント梁が香港でリチャードの助手として働きながらもリチャードを裏切り、ジェフリーと通じていた時代(「龍の季節」)。正義とリチャードと下村の他愛ない日常(「楽しい日」)。スイスの全寮制学校に在籍していた頃のリチャードとジェフリーの思い出(「エドワード・バクスチャーの数奇な半生」)。若きオナラブルとしての仮面の下に鬱屈を抱えたジェフリーとヨアキムとの運命的で数奇な出会い(「悪魔を憐れむ歌」)。「宝石商リチャード氏の謎鑑定」シリーズに登場した欠かすことのできない人物たち、それぞれの過去とその後を収めた珠玉の短編集!「結晶の姫君」「悪魔を憐れむ歌」に加え、「Ca, c'est Paris」「輝きのかけら」、4編の書き下ろし作品を収録。

■感想
あのキャラのその後や過去を描いた短編集。生徒に好きなことを好きでいていい、と気付かせる谷本さんがとても良い先生で正義が好きになったのも分かる。メイン2人はちょっとの登場でしたが、正義の「お前以外の誰かのために、俺はこんなに頑張れないよ」が破壊力抜群だった。
歴史ある家に生まれて大好きな家族の為に重責を背負うジェフリー、彼の苦悩がヨアキムと出会ったことによって翻弄されながらも自分も幸せになろうとする方向へ軌道修正してくれたのが嬉しい。ジェフリーの墓場までもっていく初恋の人はあの人なんだろうなぁ。ジェフリーとヨアキムの出会いは気になっていたので短編集できちんと補完されていて満足。