嫌な奴(★★★★☆)

嫌な奴 (講談社文庫)
■あらすじ
学生時代に杉本の「親友」だった、粗暴で自己中的な男、三浦。病に臥せる三浦を、杉本は十二年ぶりに病院に見舞う。そこから再び始まった二人の奇妙な関係は、不本意な同居生活まで発展する。これはいったい、友情か、愛情か、執着 か……。傑作BL『箱の中』の作者が、執拗かつ理不尽な同性同士の愛を描く。

■感想
講談社文庫だけど内容はBL。主人公・杉本と横暴な幼馴染・三浦の執着じみた関係を描いた作品。友情なのか愛情なのか、本人逹が何度自身に問答しても分からないように読者である私も二人の関係性を表す言葉が見つからない。でもコテージでふらりと消えた杉本を必死で探したり、自分の子供ができた時に杉本の名前をつけたり、何より最後の三浦視点での杉本に対する想いは「愛」といっていいのではないか。
それに対して杉本の三浦への「嫌い」という感情は決して払拭されることはない。それでも三浦の温もりがないことに違和感を感じたり、初回特典のSSからすると段々と絆されてきている様子。杉本にはぜひ三浦視点の時の彼の心の声を聞いてほしい。ビターなBLを読みたい方にはオススメです。