ヴァチカン図書館の裏蔵書: 贖罪の十字架 (★★★★☆)

ヴァチカン図書館の裏蔵書―贖罪の十字架―(新潮文庫)

ヴァチカン図書館の裏蔵書―贖罪の十字架―(新潮文庫)

◼あらすじ
あなたを苦しめる真相はこの本の中にある──。ローマで暮らす玄須聖人の前に人間が降ってきた。それは、悪魔祓い師を務める神父の転落死だった。事件に遭遇した聖人を案じ、友人のマリク神父が駆けつけるが、「悪魔」の存在をめぐり口論となり、絶交宣言を下されてしまう。国籍や宗教を超えた特別な友の信頼を取り戻そうと聖人が苦悩するなか、マリクは新たなエクソシストに任命される──聖域を揺るがすビブリオミステリー!

◼感想
シリーズ3冊目。エクソシストの不審死が続き、聖人も偶然事件現場に居合わせてしまう。真相を追っていた斉木と共に事件を調べることに。今回のキーワードは「エクソシスト」、マリクが抱える辛い過去によって聖人と仲違いしてしまったのは悲しい展開。確かに信仰心の有無は壁の一つなのかもしれない。でも終盤で聖人の行動によってマリクが過去を乗り越えられて良かった。
個人的には「悪魔」は精神的なものが大きく影響しているような気がするが…。舞台は趣深いのにトリックは最先端の科学を利用していてアンバランスな印象。終盤の聖人の頑張りに拍手したくなりました。