筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。鎌倉の夜は、罪を隠さない(★★★★☆)

 

■あらすじ

東雲清一郎は、大学生活のかたわら書家として活動し、筆跡鑑定も行う超絶イケメン。だが、中身はトゲトゲなハリネズミのような毒舌家だ。おしゃれなカリグラフィー、図書館本の落書き、離別した父からの手紙、そして過去からのメッセージ―「気持ちに嘘はつけても、文字は偽れない」。そう断言する彼の秘密が、また一つ明らかになっていく…古都・鎌倉を舞台に、文字と書、人の想いにまつわる事件を描く大人気ミステリー、第4弾!

 

■感想

シリーズ4冊目。「呆れる」の話は本当に呆れてしまうようなオチだった。「呪われる」は完全に自業自得なのでこの結末で良かったかと。相変わらず裏辻が物騒なこと考えていそうで怖い。

美咲の影響や将来のことを考えて少しだけ他人に対して柔軟な態度をとるようになった東雲、そんなせっかくの東雲の変化も物語後半で元に戻ってしまう。東雲の過去を追いながら自分の気持ちを自覚していく美咲、自分よりも東雲がかつて好きだった葉月を優先しようとしたことに傷ついてしまうのがすごく分かる。でも最後の東雲の「なかなおり」で一気に雰囲気が明るくなりました。今回東雲の心の扉を開いたのは間違いなく美咲なので前向きに頑張ってほしいです。