闇の聖天使 ヴェネツィア・ヴァンパイア・サーガ(★★★★☆)

1999年、世界は数々の怪奇現象に見舞われていた。東京直下大地震を生き延びた少年ヒカルは、ヴェネツィアに流れ着く。瀕死の彼を救ったのは、アラブ系らしい彫り深い顔立ちの執事と、菫色の眸を持つ美少年だった。だが、生まれつき不思議な力を持つヒカルは、謎めいた主のある秘密に気づいてしまう。折しも、過去の魔手がヒカルに迫ろうとしていた―。頽廃した水の都を舞台に、光と闇の熾烈な闘いを描く、壮大で美麗な物語。

災害により衰退しつつある世界で水が黒く染まってしまい、歓楽街へと変貌してしまったヴェネツィアが舞台。アナスタシオとイズライールの主従関係が色々と複雑でアナスタシオを第一に考えるイズライールと自分に仕える者の命も背負い込もうとするアナスタシオの噛み合わない様子が歯がゆい。最後に謎の多いイズライールの正体も判明しますが、どういう経緯でアナスタシオに仕えることになったんだ?
始終シリアスな場面が多い中でヒカルの純粋さが救いでした。最初は怯えてばかりだったのに、段々と逞しくなってとても頭の良い子なんだなと。あのイズライールでさえヒカルに心を許してましたし。ヒカルの力はアナスタシオ達にとっても便利みたいですし、このまま彼らを支えていってほしいです。