人魚姫の椅子(★★★☆☆)

人魚姫の椅子

人魚姫の椅子

瀬戸内海に面した椅子作りがさかんな町、宝松市鈴香瀬町。高校生の海野杏は、毎朝海辺で小説を書きながら、椅子職人を目指す同級生・五十鈴彗斗と少しだけ話すことを日課としていた。そんなある日の朝、彗斗から「高校をやめて町を出る」と告げられる。特別仲がよかったわけではないが、傍にいて当然の存在がいなくなることに焦りを覚える杏。時を同じくして、杏は親友の翠からラヴレターの代筆を頼まれる。必死に頼む姿にほだされ、明るくてかわいい翠を思い浮かべながら、一文一文を丁寧に綴っていく。そのラヴレターから、小さな町を揺るがす失踪事件が始まるとも知らずに。“黒猫シリーズ”の著者が描く、新たな青春ミステリ。
主人公・杏と彗斗の淡い恋模様はじれつたさもありつつ、二人の関係が好みでした。それに引き換えあの子に関してはゾクッとするような結末…。とある某有名作品を読んだことがある方なら早い段階で結末がわかってしまうかもしれません、ちなみに私はそうでした。彗斗はもちろんのこと彗斗のお父さんも椅子に対する愛情が深くて、工場は無くなってしまったけどまた復活してほしい。
公造はだらしないけど杏のことをきちんと見てるんだなと。亡くなった杏の母親を一途に想っているエピソードは素敵だけど、いつかずっと一緒にいたいと思える人がまた見つかってくれるといいな。杏はこのまま作家にならないかな、椅子とジェシーの境遇が悲しかった。