死神もたまには間違えるものです。(★★★★☆)

「なぜ、献血できないの?」「だって、死んでますから」。平凡な会社員の高梨広(たかなしひろし)が乗る路線バ スが、急停車した。幸い大事故には至らず怪我もない。だが、余見透(よみとおる)という男が現れて、既に死んでいると告げ、「死神」として、あの世へ送り届けるとまで言い出した。同乗していた他の人々も呼び集められたが、女子高生、定年後のオジサン、イケメン僧侶と共通点もないのだ。やがて最期の時を迎えるなか、終焉が訪れない人物が……。どうする、死神。
シリーズ2冊目。前巻より頁数も厚めで読みごたえがありました。しかしどうしても個人的に死神のキャラは好きになれない。最後に生きたいと願った喜多山や東の死を弄ぶかのようなやり方は後味が悪かった。特に東の場合あんなに絶望させる必要もなかったし。喜多山のような父親は嫌だけど、息子も最低だね。同人誌を作ると意気込んでいた久瑠美が癒しでした、せめてもの救いは死に方が安らかだったことかな。
今回の主人公であった広のエピソードが一番良かったなと思います。生きることに無頓着だった広が天堂と共に過ごすことによって感情を知っていく過程は微笑ましくもあり、その先に待つのが「死」だと思うと切なくもなりました。天堂に名前を呼ばれて照れる広が可愛かった。天堂が本当に格好よくて良い人だなと思ったら、最後にサプライズが…!もしこの二人が普通の人間で違う形で出会っていたら結ばれていたのかな。最後の広がとても幸せそうで、ラストは気持ち良く読み終えることができました。