犬恋花伝 ―青銀の花犬は誓約を恋う―(★★★★☆)

犬恋花伝 ―青銀の花犬は誓約を恋う― (コバルト文庫)

犬恋花伝 ―青銀の花犬は誓約を恋う― (コバルト文庫)

人と獣の姿を持つ不思議な存在、花犬。そしてその花犬を相棒に狩猟をする花操師。花操師見習いのコトナは、過去にあった花犬との辛い別れが原因で、現在の相棒セキとの関係がぎくしゃくしていた。近く行われることになっている、花操師への昇格試験の合格も危ぶまれる中、凶悪な花犬が出没し、多くの犠牲が出たという。それは、かつてのコトナの相棒である花犬ハルシを殺した相手で―!?
読んでみて児童文学作品っぽいなという印象、恋愛を主題に置いているわけでなく人間と花犬の絆の物語なんだなと。コトナを真っ直ぐに慕うハルシが可愛い、コトナがハルシを亡くした喪失感を乗り越えるのに苦労したのもわかります。ハルシは最後までコトナを守る為に敵に立ち向かったんだなと思うとウルっとくる。
そしてなかなか素直になれずにコトナとぎくしゃくしてしまうセキ、この子は本当はコトナが大好きなのに…。何度コトナに「気付いてあげて!」と突っ込んだことか。最後は素直に自分の気持ちをコトナに告白して両想い(?)になれて良かった。耳を引きちぎってまでコトナを相手に選ぼうとするセキの一途な気持ちにキュンときた。セキを助けようとするコトナを支えたヤダケ老やシャリジ達も素敵でした。