廃皇子と獣姫の軍旗(★★★★☆)

祖国を追われた皇子と獣の半身を持つ一族が織りなす軍記ファンタジー。個人的に「魔王殺しと偽りの勇者」以来の久しぶりの田代さん。「魔王殺し〜」の時と同じく安定した面白さで安心して読めます。すみ兵さんのイラストもグッド。
「黒狐」と周囲から恐れられる程に戦争に打ち込んでやっと祖国に帰れたと思ったら反逆者扱いされるとか色々と不憫な境遇のウィルフレド。しかしどこか人を食ったような飄々としたキャラクターなので、敵対していた亜人族と手を組んでどこまで突っ走るのか気になるところ。なんか底知れないというか、敵には回したくない奴。
野生児ヒロイン・クルルの真っ直ぐさも魅力的ですが、私はマルセリナ推しです。最後は彼女にとっては辛い状況となってしまいましたが、ウィルフレドの味方になってくれないかなと思ったり。素直にウィルフレドに懐いているチトリも可愛かったです。