他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた(★★★★☆)

■あらすじ
代わり映えしない毎日がこいつのせいで――ちょっと楽しくなった クラス委員長・大楠直哉は、ある日クラスメイトの一人である不真面目女子・江南梨沙に対して、つい、その態度を説教してしまった。でもその日から、なぜか江南は大楠と一緒に帰ろうとするのだった。いったい何で?

■感想
真面目で学級委員もしている優等生・大楠直哉、不真面目な女子生徒・江南梨沙に思わず説教してしまったことから二人の関係性が生まれていく。他人からの視線に敏感な梨沙は感情を剥き出しにして真剣に自分を見てくれた直哉を知りたいと思うようになる。ぐいぐいいく梨沙に振り回される直哉の描写がクスッと笑える。
梨沙も直哉もそれぞれの背景に他人に知られたくない事情があって、それに苦しみながらもお互いを知っていく内に絆が育まれていく過程が素敵でした。シリアスもありつつ、ラブもありつつといった個人的に好みのお話。ぜひ続いてほしいです。

ライアー・ライアー7 嘘つき転校生は偽りの正義に逆襲します。(★★★★☆)

■あらすじ
夏の大規模決闘SFIA(スフィア)の真っ只中で“正義の味方”ヘキサグラムに7ツ星の不正疑惑を告発された俺・篠原緋呂斗。それでも奴らのボス佐伯薫のクズすぎる策略を看破し、なんとか決勝に辿り着いた。後輩の水上摩理以外の生き残りは、彩園寺や霧谷ら他校屈指の強豪とヘキサグラムの連中ばかり。イカサマを封じられた俺にとって容赦のない戦いが待っている。けどな、いい加減俺も我慢の限界なんだ。佐伯たちに泣かされた奴らの分まで、何倍もお返ししてやる。さあ、ここからは逆襲の時間――押しつけがましい奴らの正義の化けの皮を、完膚なきまでに引き剥がしてやろうぜ。

■感想
シリーズ7冊目。夏の大規模決闘SFIAもとうとう決勝戦に突入、正義を語るヘキサグラムの策略を乗り越えて篠原は優勝を目指すしていく。前巻とうって変わって水上の篠原への懐きっぷりが可愛い。少しずつ篠原を信頼しているのが分かるマイペースな皆実も好きです。
個性豊かなキャラが多いだけに最後の共同戦線は熱い展開でした、この作品の中で一番面白かった。阿久津眼中無しで篠原一直線の霧谷の傍若無人さ嫌いじゃないよ。それに比べて佐伯の小者感が凄い、ただの操り人形だったのか…。次回は修学旅行編?

スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル(★★★★★)

■あらすじ
スパイの極秘な姿を目撃せよ! 珠玉の短編集がついに登場!「――僕は『灯』の誰かと結婚している」クラウスから告げられた衝撃の一言。そして婚約者は謎のまま『灯』メンバーで花嫁を巡る戦いが勃発する…!? 本編では描かれない、少女たちの日常を目撃せよ!

■感想
クラウスが実は灯のメンバーの誰かと結婚していることが発覚、花嫁を巡る騒動が勃発する。いつもよりラブコメ寄りで短編集ならではの構成を満喫しました。今回はサラ・ジビア・グレーテ・モニカが中心。自分に自信のないサラと自分の限界を知って本気になれないモニカ、二人に自分なりの方法で寄り添うクラウスがマジでイケメン。
グレーテのヒロイン力の高さは知っていましたが、ジビアも侮れない。自分の気持ちに名前はつけられないけどクラウスを大切に思う気持ちは本物、サラもだけどジビアも段々と恋に変わっていくのかしら。メンバーに対して真摯なクラウスは本当にカッコいい。ぜひまた短編集出してほしい。

文豪ストレイドッグス STORM BRINGER(★★★★☆)

■あらすじ
中原中也とは“何”なのか――? 今明かされる双黒の「十六歳」の物語。太宰治とともに『荒覇吐事件』を終息させ、ポートマフィアに加入して1年。幹部の座を狙う中原中也の前に現れたのは、中也を弟と呼ぶ暗殺王ポール・ヴェルレエヌだった!
「お前の心に関わる人間を、全員暗殺する」彼の計画を阻止するため、中也は欧州の人造知能捜査官・アダムと手を組む。それは横浜をふたたび呑みこむ嵐の予兆。中原中也とは一体“何”なのか。射干玉の闇に包まれた過去の真実が今、明らかになる――!

■感想
中原中也とは一体何なのか。人間?機械?と話が二転三転していく。ヴェルレエヌの手によって仲間が死んでいく展開はマフィアの過酷さが強調されていて、中也が仲間思いだからこそ読んでいてしんどかった。若手会の皆クセが強くて面白かったのにな…。
太宰とはお互いが嫌いなのに知り尽くしている、という何ともいえない旧双黒コンビがたまらなかった。そして終盤のヴェルレエヌに対してのランボウの決死の覚悟が美しすぎる。中也の「俺の家族は、ポートマフィアですから」が救いだなと思います。

僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない (★★★★☆)

■あらすじ
生徒相談室の引きこもり少女・明神凛音は真実しか解らない。どんな事件の犯人でもまるで神様の啓示を受けたかのように解ってしまう彼女は、無意識下で推理を行うため、真実に至ることができた論理が解らないのだった。伊呂波透矢は凛音を教室に復帰させるため、「彼女の推理」を推理する!『継母の連れ子が元カノだった』の紙城境介が紡ぐ新たなる勝負作!

■感想
真実が解ってもそれに至るまでの論理が解らない探偵とその論理を突き止めようとする主人公の学園ミステリ。出会った当初はまったく息の合わなかったコンビが段々と気持ちを通わせていき、終盤で二人が手を握り合うまでいくのが感慨深い。
結末は全体的にビターテイスト。特に3話目はガツンとやられた感じ、先生のやったことが果たして正解なのか。金宮のキャラ嫌いだし、松田先輩が早く立ち直ってくれるといいな。主人公・透矢が推定無罪にこだわる理由が後に明かされるがそれが思った以上に強烈。いつかは先生に一泡ふかせてほしいものです。

蒼海館の殺人(★★★★☆)

蒼海館の殺人 (講談社タイガ)

蒼海館の殺人 (講談社タイガ)

■あらすじ
学校に来なくなった「名探偵」の葛城に会うため、僕はY村の青海館を訪れた。 政治家の父と学者の母、弁護士にモデル。名士ばかりの葛城の家族に明るく歓待され夜を迎えるが、激しい雨が降り続くなか、連続殺人の幕が上がる。刻々とせまる洪水、増える死体、過去に囚われたままの名探偵、それでも――夜は明ける。新鋭の最高到達地点はここに、精美にして極上の本格ミステリ

■感想
青海館で起こる殺人事件と洪水による災害に巻き込まれた田所。落日館での事件をきっかけに探偵であることをやめてしまった葛城を説得するが拒絶されてしまう。ボリューミーなだけあって読みごたえも抜群。首のない死体が出た時点で色々と疑わしい点が出てきましたが、犯人の巧妙な誘導によって事件が仕組まれていることにゾッとしました。
再起してからの葛城が見違えるようで、結構早くから犯人を確信してたと思うと辛い展開だったなと。ラストの泣いている葛城にそっと寄り添う田所、という二人の関係性が好きです。要所々々で場を和ませる三谷がグッジョブ。また続きが出るなら読みたいです。

1LDK、そして2JK。IV ~3つの結末、それは4人の未来~ (★★★★☆)

■あらすじ
27歳サラリーマンと2JKによるひと夏の物語は、いよいよクライマックスへ。
ひょんなことから身を寄せ合い、共に暮らしてきた3人。それぞれの夢や希望や心残りやほのかな気持ちは、もう1LDKには収まりきらないほど大きくなり、未来へと飛び立つ勇気をもたらした。それぞれの決断は、物語の結末はいかに?読めば納得、きっとお気に入りの結末が見つかるはず。

■感想
シリーズ最終巻。ひょんなことから共同生活を送ることになった3人が絆を深めながらもそれぞれの道へ歩いていく過程が丁寧に描かれていました。奏音は突然家出した母親ときちんと話し合い、ひまりは自分の夢を理解してもらう為に両親と向き合うことに。2人だけではなく和輝自身も好きだった柔道に再チャレンジする、という展開が感慨深かったです。
ラストはあっさりながらもそれぞれのキャラとのエピソードがあって嬉しかった。ひまり推しなので他の二人と同様に両思い後の様子も知りたいなと思ったり。でもデビューできて良かったね!ほのぼのと安心して読めるシリーズでした。