シュレディンガーの猫探し(★★★★☆)

シュレディンガーの猫探し (ガガガ文庫)
■あらすじ
妹にまつわる不思議な現象、「やよいトリップ」。未来視とも思えるその力が原因で巻き込まれたとある事件をきっかけに、訪れた洋館。洋館の表札には『探偵事務所 ラビリンス』。そして、古めいた書架に囲まれるように彼女はいたーー。魔女のような帽子に黒い服。書架に囲まれた空間そのものが一つの芸術作品のように美しい佇まい。「解かれない謎は神秘と呼ばれる。謎は謎のままーーシュレディンガーの密室さ」彼女ーー焔螺は、世界を神秘で埋め尽くしたいのだと言った。「私は決して『探偵』なんかじゃない。神秘を解き明かすなんて無粋な真似はしないよ」探偵じゃないなら、いったい何なんだ。問えばふたたび、用意していたように即答だった。「魔女さ」
まったく、時代錯誤も甚だしいと嘆かずにはいられない。神秘的で、ミステリアスな一人の魔女に、この日ーー僕は出会った。

■感想
事件を解決するのではなく、謎を迷宮入りさせるという設定が新鮮だった。探偵嫌いの主人公・令和と魔女を名乗る焰螺の掛け合いが面白かった。令和の心の闇でもある事故で亡くなってしまった姉・飛鳥の存在。焰螺とも知り合いだったり、そもそも本当に死んでいるのか?そして最大の謎は焔螺自身、芥川のことを「母」と呼ぶ彼女は何者なのか。伏線が多くて今後の展開が気になる。
焔螺に翻弄された探偵サイドですが、事件解決の為なら他人のプライバシーにも踏み込む彼らのスタイルには納得できないものの明智のように信念や覚悟を持っていると何だか憎めないですね。焰螺の策略でジタバタしている明智をまた見たい気もします(笑)