オーバーライト ――ブリストルのゴースト (★★★★☆)

オーバーライト――ブリストルのゴースト (電撃文庫)
■感想
グラフィティ。それは俺と彼女の想いすら鮮やかに上書く、儚い絵の魔法―。ブリストルに留学中の大学生ヨシは、ある日バイト先の店頭に落書きを発見する。普段は気怠げ、だけど絵には詳しい同僚のブーディシアと犯人を捜索するうちに、グラフィティをめぐる街の騒動に巻き込まれることに…。

■感想
グラフィティに誇りを持った人々の物語。個人的には公共物に落書きする不貞な輩というイメージしかなくて、しかしこの物語のキャラはきちんとプライドや誇りを持って描いていて印象が変わりました。特にグラフィティ集団のリーダーでもあるララは情熱的な一面もありながら理性的な一面も持ち合わせていて市議会との対立の際は本当に格好良かった。
ヒロイン・ブーディシアはなぜ描かなくなったのか。彼女のその理由に触れた時歯痒い思いを感じた。そしてこれはブーと主人公・ヨシの再起の物語でもあるのだと思う。実際の事件を基盤にしているそうでグラフィティと共存する町・ブリストルに行ってみたくなった。