ぼくは彼女のふりをする(★★★★☆)

ぼくは彼女のふりをする (ヒーロー文庫)
■あらすじ
中学生の少年が女子の制服を着る理由とは?思春期の成長と葛藤を描いた、感動の青春ストーリー!中学二年生の少年にはとある秘密があった。それは、双子の姉の制服を着て、少女「ひかり」のふりをしているということ。「ひかり」に好意を寄せる少年、立花。少年の歪さを疑う養護教諭、真壁。そして、「少年」を認識できない母親――。亡くなった姉のふりを続ける少年は、少年と少女の二つの生活を送るうちに、自分自身の在り方を問い始める。「自分」とは何なのか。他人が認識する姿と本当の自分、どちらが正しいのか。やがて、第二次性徴を迎えた少年は、少しずつ「少女」を続けることが難しくなっていき……。

■感想
なぜ少年は女子の制服を着るのか。そこに隠された理由は重くて決して少年一人で抱えきれるものではない。それでも少年は自分の存在意義を自身に問い掛けながらも「ひかり」を演じていく。大人の介入が必要な時に父親が手を貸さないのにイラッときた、真壁先生がいてくれて良かった。繊細なようでいて不屈、母との関係や自分の性に悩みながら前へ進んだ主人公にそんな印象を抱いた。
女装する過程で出会った立花との淡い青春模様もストーリーを彩っていた。再会した2人が今後どのような友情を育んでいくかも気になる。終盤の主人公とひかりの会話が好きです、仲良し姉弟で微笑ましい。主人公の名前がとても素敵!