死体埋め部の悔恨と青春(★★★★☆)

死体埋め部の悔恨と青春 (ポルタ文庫)
◼あらすじ
英知大学に入学したばかりの祝部は、飲み会の帰りに暴漢に襲われた末、誤って相手を殺してしまう。途方に暮れた祝部を救ってくれたのは、同じ大学の先輩だという織賀だった。しかし死体の始末を申し出てくれた織賀の車には、すでに別の死体が乗っており、祝部は秘密裏に死体の処理を請け負っている織賀の手伝いをする羽目に。そのうえ、織賀が運ぶ“奇妙な死体”がなぜそんな風に死んだのか、織賀を相手に推理を披露させられることになるのだが…。繰り返される『死体遺棄』の末に祝部と織賀を待ち受けるものはいったい何か―。気鋭の作家が描く、異色の青春ミステリー。

◼感想
暴漢に襲われて抵抗したら誤って相手を殺してしまった祝部、織賀という同じ大学の先輩に目撃されてしまったことから祝部の人生は異様なものになっていく。やっていることは「死体遺棄」という道徳的に許されないことだけど死体埋め部としての二人は間違いなく青春を楽しんでいたと思う。二人のミステリ染みた会話の駆け引きは好きでした。
頭のネジが何本か抜けている織賀、それでも最後の彼の行動は先輩らしくて二人の間には確かに愛情があった筈。すれ違いによる仲違いが悲しかった。最後のあれは希望と絶望どちらなのか、願わくばまた二人で笑って会話している姿が見たいです。