夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (★★★★☆)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)
◼あらすじ
片田舎に暮らす少年・江都日向は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子だった。彼女は死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛ける。相続の条件として提示されたチェッカーという古い盤上ゲームを通じ、二人の距離は徐々に縮まっていく。しかし、彼女の死に紐づく大金が二人の運命を狂わせる―。抱えていた秘密が解かれるとき二人が選ぶ『正解』とは?

◼感想
身体が金塊に変わる致死の病を患う少女と劣悪な家庭環境に苛まれる少年の切ないラブストーリー。劣悪な家庭環境だけではなく恋をした少女は難病という中学生の少年が背負うにはあまりにも重くてずっとエトを応援していた。無気力なようでいて弥子と出会う時は年相応なエトが微笑ましい。友達の晴充がさりげない気遣いができる良い奴でした。
弥子がエトを選んだ理由はちゃんとはられていた伏線が回収されていて納得。三億円の行方はああいう形の方がエトのことを考えると良かったと思います。閉鎖された田舎から羽ばたくことを決めたエトの未来に幸あれ。