鎌倉お寺ごはん あじさい亭の典座さん (★★★★☆)

鎌倉お寺ごはん あじさい亭の典座さん (富士見L文庫)
◼あらすじ
退職したばかりの元営業・空也は、精進料亭“あじさい亭”で雇ってもらうために鎌倉へやって来た。しかし店主である僧侶・蓮沼竜玄は拒否!ついには、椎茸干しに集中して相づちさえされなくなる。取り繕った理由を話していた空也も、つい言わないつもりだった、この店でなければいけない本当の理由を口にしてしまう。「このまえ大好きだったばあちゃんが死んだ。堪らなくて、なのに出てきた精進料理が旨くて。味は違うのにばあちゃんの味を思い出した―」空也の独白に竜玄は…?

◼感想
じんわりと優しく心に染み込んでくるような物語でした。普段は濃い味付けが好きだけど、精進料理のような淡い味わいの料理も食べたくなりました。一つ一つの料理にきちんした思いや逸話が込められていて素敵だなと。個人的に一番印象的だったのが第4話。真由子が抱える苦しみを一緒に受け止めた田中さんも凄かったし、それを料理で支えた空也達も頼もしかった。
空也と竜玄も段々と仲良しコンビになっていて微笑ましい。竜玄の父親にもいつか認めてもらえるといいな、空也がはっきりと言ってくれてすっきりした。あやかし陰陽師シリーズも好きなのでぜひ並行して続いてほしいです。