今昔百鬼拾遺 天狗(★★★★☆)

今昔百鬼拾遺 天狗 (新潮文庫)
◼あらすじ
昭和二十九年八月、是枝美智栄は高尾山中で消息を絶った。約二箇月後、群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服をまとっていた。この謎に旧弊な家に苦しめられてきた天津敏子の悲恋が重なり合い―。『稀譚月報』記者・中禅寺敦子が、篠村美弥子、呉美由紀とともに女性たちの失踪と死の連鎖に挑む。天狗、自らの傲慢を省みぬ者よ。憤怒と哀切が交錯するミステリ。

◼感想
中禅寺敦子と呉美由紀がコンビの三部作・天狗編。高尾山で行方不明になった友人を探している篠原美弥子と知り合いになり事件に巻き込まれていく美由紀達、他にも高尾山で行方不明者や遺体が発見されて事件は混迷していく。お嬢様ながらも自分の考えをしっかりと持ち、友人の為に啖呵を切る美弥子が逞しくて好感がもてます。
色々とやるせないし、腹が立つ事件だったなと。男尊女卑も同性愛も美由紀達の時代にかかわらず現代でも通じる部分があると思う。本当に巻き込まれた人が可哀相で私が思ったことはほとんど美由紀が代弁してくれました。すっきり!今後また美由紀には登場してほしいです。