今夜、君を壊したとしても(★★★★☆)

今夜、君を壊したとしても (講談社タイガ)

今夜、君を壊したとしても (講談社タイガ)

「生き残れるのは一人だけ、残りは全員殺します」同級生の津々寺は銃を片手に、いつもの笑顔で言った。教室を占拠した目的は「友達を作るため」意味不明だ。死を目前にクラスメイトが涙に暮れるなか僕は心に決めた―彼女と過ごした“あの日”から真意を推理してみせる。その頃、妹のアザミは僕を助けるために学校へと向かっていた。これは殺人鬼と僕が分かりあうための物語。

シリーズ2冊目。いきなり銃を武器にして教室を占拠し始めたクラスメイトの津々寺。妹のアザミは終を助けるために学校へと急ぐ。唐突な展開についていけない。津々寺は一体何がしたいのだろう、と思いながら読み進めた。
結局のところ彼女は自分の大切な人を理解したかったし、出来ることならば隣にいたかった。それは終と同じでとても歯痒い思いを抱えながら今回の行動を起こしたのだと思う。ずっと平凡だった人生に唐突に現れた異質な存在、普通なら憎むべき相手なのにいつしか大切な存在になっていく彼女の心境は純粋にみえた。終はアザミを理解できる日がくるのか。