三度目の少女(★★★★☆)

三度目の少女 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)

三度目の少女 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)

大学生の関口藍は、前世・前前世の記憶を所持して生まれてきたという少女・伊藤杏寿と出会い、生まれ変わりを防ぐ手助けをしてほしいと頼まれる。情報を得るため、前前世の少女・木綿子の生家を訪ねた藍たちは、そこで謎のポルターガイスト現象に遭遇する。その翌朝には当主の毒殺死体が発見され、現場には木綿子の署名が残されていた。三十二年前、彼女は何者かに殺害されたらしく…。

「この世には、超常現象が存在する」という前提で描かれたホラーミステリー。生まれ変りを経験した少女・杏寿と出会い、彼女の再びの生まれ変りを防ぐために手を貸すことになった藍。藍も過去のトラウマから他人の意見を否定できない、という悩みを抱えていた。悩みを持つ二人がお互い過去と向き合った成長ストーリーでもあった。
杏寿の「生まれ変り」のからくりは分かりやすくて納得。肝心の殺しのトリックは調理方法の盲点が基本なのでちょっと拍子抜けかな。どちらかというと杏寿が志津枝に対して一喝した時の方がすっきりしたし、好きな場面でした。とにかく木綿子が可哀相で、当時虐待に関わっていた人は恨まれて呪われても仕方ない。藍と杏寿が前へ進んでいるのがせめてもの救いですかね。