横浜奇談新聞 よろず事件簿(★★★★☆)

B級新聞「横浜奇談」のモットーは、街の怪談・奇談なんでもござれ、面白ければそれでよし―。とある事情を抱える元武士・寅次郎が床屋で出くわしたのは、「ちょんまげが空を飛ぶ」という怪しい噂と、それを調べに来た記者・ライル。横浜奇談の仕事を手伝うハメになった寅次郎は、ライルとケンカをしながら街の奇妙なネタを調べるが、その裏には色んなたくらみや想いが詰まっていて…。凸凹バディ系連作ミステリ!

黒船来航により長い鎖国が終わり、欧米人をはじめとする外国人によって大きく変化した横浜が舞台、堅物の元武士とノリが軽い英国人記者のバディもの。寅次郎がなかなか断髪できずにいるのに共感できた、変化を受け入れるのはそんな簡単なことじゃない。日本がどれだけ欧米と同じ立ち位置に立とうと頑張っても逆効果で相手に笑われるだけ、その被害者でもある彦十郎が寅次郎と同じく前へ進めたのにはひと安心。
いつか「横浜奇談」に「ジャパン・パンチ」の売り上げを追い抜いてほしい。ライルが掲げる理想の方が共感できる。寅次郎の誠実さ、ライルの好奇心旺盛で軽いところが良い塩梅で組み合わさっていて楽しく読書できました。