霊能探偵・初ノ宮行幸の事件簿1(★★★★☆)

――生者と死者。彼の目はその繋がりを断つためにある。世をときめくスーパーアイドル・初ノ宮行幸には「霊能力者」という別の顔がある。幽霊に対して嫌悪感を抱く彼はこの世から全ての幽霊を祓う事を目的に、芸能活動の一方、心霊現象に悩む人の相談を受けていた。ある日、弱小芸能事務所に勤める美雨はレコーディングスタジオで彼と出会う。すると突然「幽霊を惹き付ける“渡し屋”体質だから、僕のそばに居ろ」と言われてしまい――?幽霊が嫌いな霊能力者行幸と、幽霊を惹き付けてしまう美雨による新感覚ミステリ!

天保院京花シリーズで出てきた初ノ宮行幸が主人公。語部の美雨は幽霊を引き寄せてしまう体質の持主。行幸に助けられたことからマネージャーになり、依頼される心霊事件に関わっていくようになる。唯我独尊な行幸のペースに戸惑いながらも、一緒に行動していく内に彼が決して冷徹なわけではないことや自分が必要とされていることを知り、行幸を支えていきたいと美雨が願う前向きなラストでひと安心。
「夢枕に立つ」は、美雨が泣いた気持ちが分かる。やっぱり生きて「おめでとう」を言ってほしかった。一番怖かったのは「顔を隠す」ですかね、人の顔の皮を剥ぎ取るとか聞いただけでゾッとする。最後の行幸と由良の会話が不穏ですな、行幸の過去については次回掘り下げるのかな。