イケメン隔離法(★★★☆☆)

イケメン隔離法 (集英社オレンジ文庫)

イケメン隔離法 (集英社オレンジ文庫)

20XX年、宇宙からうっかり持ち帰られた可能性の高いウィルス、通称「ゆうぐれウィルス」が人類を襲う。眉目秀麗な男子に限り、そのウィルスは猛威を振るい、世の「イケメン」たちは次々に昏睡状態に陥った。感染力が非常に強く、普通の入院措置で押さえることは不可能ということもやがて判明、その無力化と混乱の鎮静は、たちまち国家の存亡をかけた一大プロジェクトとなった。史上まれにみる速度である緊急法案「イケメン隔離法」が国会を通過。それはシンプルに「イケメンを隔離する」というものだった。国の感染症研究センターによって国的に行われた検査により、茨城に住むごく当たり前な容貌の(どう頑張っても中 の上の)フリーター、早川ヒロキにも「イケメンウィルス保菌者なので、隔離施設に入るように」と「隔離礼状」なるものが来る。ヒロキは北海道・網走にある隔離施設「イケメン・プリズン」で生活することに。そこでヒロキを待っていたのは、イケメンだらけの過酷で濃密で理不尽な生活で・・・! ?

軽い後味のものが読みたくてタイトルだけで手に取った一冊。宇宙より持ち込まれたイケメンのみが感染する謎のウイルスが原因で施設に隔離されることになった男性達の人間模様が描かれている。思ったよりライトな感じでもなく、だからといって重すぎるわけでもなく男の子の成長譚が好きなら楽しめるのではないかと思う。
個人的には第二話「宮古島」が一番好きでした。遊馬と今治さんの不器用な関係がもどかしかった。今治さんからの手紙を見て何も気付けなかったことに対する自分への悔恨と何も言ってくれなかったことに対する今治さんへの苛立ちを抱く遊馬の心情が切ない。最後にほんの少しだけど二人の再会シーンがあったのが嬉しかった。