断片のアリス(★★★★☆)

断片のアリス (新潮文庫nex)

断片のアリス (新潮文庫nex)

雪と氷に閉ざされた現実世界から離れ、人々は生活のほとんどをVRシステム‐ALiS‐の中で過ごしていた。傷つくことのない穏やかで平和な仮想空間で。しかし突如、椎葉羽留は囚われた。痛覚も“死”も存在する恐怖のVRクラスタに。ログアウト不能の狂気の館で、連鎖する殺人。そしてたどりつく、この創られた世界の真相と、彼女の正体とは!?衝撃の結末に驚愕するVR脱出ミステリ。
久しぶりの伽古屋作品。現実世界が崩壊し、人類の大多数が仮想空間で過ごしている。平和な世界なようでいてそこに囚われ続ければいつか起きるであろう大問題を少しでも阻止するためのゲームだったのか、と思うと確かに納得。童話「ピノッキオ」を下敷きにゲーム設定が作られていますが、ゲームの舞台が赤エビ亭で終わってしまったのが残念でした。てっきり童話に沿ってストーリーが進んでいくのかと。
最後は一気に人が死んでいくという目まぐるしい展開ですが、これはこれでスリルがあって面白かったです。羽留がゲームをやっていた世界観についてはややこしかったけど。羽留が前向きに今後のことを考えていたのがせめてもの救いかな。ゆっくり一歩ずつ進んでいってほしいです。