86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈下〉(★★★★☆)

敵“レギオン”の電磁加速砲による数百キロ彼方からの攻撃は、シンのいたギアーデ連邦軍の前線に壊滅的被害を与え、レーナが残るサンマグノリア共和国の最終防衛線を吹き飛ばした。進退極まったギアーデ連邦軍は、1つの結論を出す。それはシンたち「エイティシックス」の面々を“槍の穂先”として、電磁加速砲搭載型“レギオン”の懐に―敵陣のド真ん中に突撃させるという、もはや作戦とは言えぬ作戦だった。だがその渦中にあって、シンは深い苦しみの中にあった。「兄」を倒し、共和国からも解放されたはず。それなのに。待望のEp.3“ギアーデ連邦編”後編。なぜ戦う、“死神”は。何のために。誰のために。
レーナとの再会までを描いたシリーズ3冊目。とうとうここまできたか、という印象。思ったよりもレーナ側の視点が少なかったのは残念。やはりシンの中でレーナという存在は一つの支えになっていたんだなと。精神的に危うい一面を持っていたシンでしたが、戦いが進む内に彼の中で自分なりの答えを出して前へ進んでいるのにはひと安心。
86に危険な任務を押し付ける連邦軍には嫌気がさしましたが、グレーテやエルンストなど彼らを支えようとする人達もいてくれるのが嬉しい。フレデリカは今回も可愛かった。あとがきによると次回は「ライトな話」とのことなので期待しています。