百鬼一歌 月下の死美女(★★★★☆)

歌人の家に生まれ、和歌のことにしか興味が持てない貴公子・希家は、武士が台頭してきた動乱の世でもお構いなし。詩作のためなら、と物騒な平安京でも怯まず吟行していた夜、花に囲まれた月下の死美女を発見する。そして連続する不可解な事件――。御所での変死、京の都を揺るがす「ぬえ」の呪。怪異譚を探し集める宮仕えの少女・陽羽と出会った希家は、凸凹コンビで幽玄な謎を解く。
「ばけもの好む中将」とはまた少し雰囲気が違う作品。和歌一筋でマイペースな希家とおてんばで好奇心旺盛な陽羽のコンビはまるで兄と妹のようで微笑ましい。頼政の孫なだけあって最後の陽羽の矢を命中させたのは見事でした。でもおしとやかな平安女性からは遠ざかったね(笑)
死人も出てきて政治的な要素も今後絡んできそうです。特に気になるのは寂漣が抱える心の闇。中宮とはきっと両想いだったんだろうけどそれも関係しているのだろうか。そして黒幕は誰なのか。伏線が結構残っているので早く続きが読みたいです。