契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~(★★★★☆)

寿町四丁目にある、通称〈椿屋敷〉。 そこに住む柊一は、若くして隠居暮らしをしているため、若隠居と呼ばれている。そんな彼のもとに嫁いできた、十九歳の香澄。 しかしそこには秘密があった。ふたりは利害の一致から結婚した、偽装夫婦なのだ。 町の相談役である柊一のもとには、たびたび近所から相談が持ち込まれるが――。 「家」が語る、わけありな人々の物語。
視点が人間ではなく「椿屋敷」というのが新鮮でした。自分だけが家族と血の繋がっていない人間であり、何かしらの理由があって家族から距離をおきたい二人。契約結婚から始まった縁だけど少しずつお互いの事情に踏み込みながら距離を縮めていく過程が丁寧に描かれていました。香澄の手料理が毎日食べれるだなんて柊一は幸福者だなぁ。いつかこの二人が本物の夫婦になれるといいな。
メインの二人も良かったけど弟の檀と絢の話の方が個人的に好みでした。檀は檀なりに柊一へのコンプレックスを抱いていて、それでも柊一が大好きな檀が可愛かったです。絢との件は檀の勘違いが解決すれば案外すぐに関係が進展したりして。