キネマ探偵カレイドミステリー (★★★★☆)

キネマ探偵カレイドミステリー (メディアワークス文庫)

キネマ探偵カレイドミステリー (メディアワークス文庫)

「休学中の秀才・嗄井戸高久を大学に連れ戻せ」留年の危機に瀕するダメ学生・奈緒崎は、教授から救済措置として提示された難題に挑んでいた。しかし、カフェと劇場と居酒屋の聖地・下北沢の自宅にひきこもり、映画鑑賞に没頭する彼の前に為すすべもなく…。そんななか起こった映画館『パラダイス座』をめぐる火事騒動と完璧なアリバイを持つ容疑者…。ところが、嗄井戸は家から一歩たりとも出ることなく、圧倒的な映画知識でそれを崩してみせ―。
メディアワークス文庫賞受賞作品。映画にまつわるライトミステリ。嗄井戸はてっきりクールな俺様キャラかと思いきや、反対に弱気で寂しがりやな引きこもりでした。奈緒崎が嗄井戸を騙して外に出させようとした時の嗄井戸の慌てっぷりが可愛かった。奈緒崎は結局留年ですか、いや自業自得だけど。もう少し真面目になろうよ。 束のキャラも結構好きです。 第2話の坂本は恋路は応援したいがもし一緒にテストを受けていたらぶん殴ってやりたくなるかも。とんだ迷惑野郎だよ。
やはり最後の「一期一会のカーテンコール」が一番不気味で印象に残りました。犯人が気色悪かった。嗄井戸の抱えている事情が思った以上に重くて、外出できないのも仕方ないなと。だからこそ奈緒崎を助けるために犯人に立ち向かったのは嗄井戸にとって大きな一歩。いつか普通に奈緒崎の家に行けるようになるといいね。続きがあるなら読みたいです。