僕が恋したカフカな彼女(★★★★☆)

僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)

僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)

深海楓は架能風香に恋文を渡し、それは見事に振られた。「あなたの手紙には誤字が四十二、脱字が十四、文法的誤りが三十六、語の選択の誤りが七十八もあるわ」彼女は大変な読書家だった。食い下がる楓に、風香は一言。「なら―カフカにおなりなさい」彼女の敬愛するフランツ・カフカを目指し小説を書き始めた楓のもとに、級友から持ち込まれる不可解な謎。「彼女が突然消えてしまった」「姉が芋虫になった」そんな馬鹿な。しかし風香は冷静に鋭い観察眼でヒントをくれる。ヒントは常に、カフカにあり―?
最初はただの好奇心から風香にアタックしていたのに彼女に関わっていく内に段々と本気で好きになっていく楓の恋模様が素敵でした。カフカは読んだことないけど随分と奇天烈な作品が多いなと、テクストに織り込まれた意味を自分なりに解釈してストーリーを展開させているのはさすが。
しかし事件に関わっている大半は楓が過去に関係した女性なので自業自得な部分もあるような…。最後は風香が無事で本当に良かった、病気自体から解放された訳じゃないけど二人には平和な学校生活を送ってほしい。楓の小説もいつか賞をとってくれるといいな。