石黒くんに春は来ない(★★★★☆)

石黒くんに春は来ない

石黒くんに春は来ない

スキー教室の夜、姿を消した少年は、雪山の中で救助されるが意識不明の重体。クラスメイトとの人間関係に問題があったと申し立てる保護者は、入院したままの少年を転校させた。バツの悪い思いをしながらも、日常生活を取り戻した生徒たちに、突然、少年からのメッセージが届き…。最終章で戦慄し、ラスト3ページで涙する。衝撃の学園サスペンス。
典型的なスクールカーストもの。歪で不愉快な人間関係にはうんざり。どうして石黒は久住なんかに告白したのだろうか。担任もどっぷりと久住に飼い慣らされていて、恵美達が苛めを訴えてもスルーする場面は嫌悪感しかわかなかった。主人公・恵美はクラスの波に流され気味なタイプだったが、最後に勇気を出して行動したのにあの結末では可哀想過ぎる。
石黒は最後まで宇正のことを考えていて、宇正もまた石黒のことを考えて行動している。二人の間にある友情は素敵だけど、それだけに切ない。宇正の執念と周囲の久住への鬱憤によって久住の縄張りが崩壊していく様子は呆気なくて、痛快だった。LINEを使用しての悪口って本当に厄介な上に最低だよな…。