僕らはどこにも開かない ‐There are no facts,only interpretations.‐(★★★☆☆)

「あなたはあたしが魔法で護ってあげるよ」まったく意味不明なことを言ってきたのは、学校でも飛び抜けて美人の香月美紀。そんな彼女と付き合うようになったことで、僕を取り囲む世界が急に動き出す。「ああ…人を殺したい」「鎖?鎖なんて見当たらないが…」素行不良な友人、堅物のクラス委員長、そして美紀さんと僕…。壊れはじめた僕らが行き着くところは―。
この著者らしい独特の世界観とクセのあるキャラたちに引き込まれてサクッと読了。わかってはいたけど主要人物にまともなキャラはいないね。何色にも染まっていない主人公・柊耕太が最終的に雅人の幻に染まりきってしまうのか、きちんと自分を見つけることができるのか、ハラハラしながら読み進めました。雅人は最後まで雅人だった。実際にこんな奴がいたら関わりたくないけど、秋山が気持ち悪いというのには賛成。
最後は美紀の頑張り勝ちかな。早由利とのガールズトークは数少ない微笑ましい場面でした。海で水着とか完全にリア充じゃん!先輩のスキャニングはひたすら不気味だった、この人に色々暴かれたら鬱になる…。とりあえず幸せそうなラストでひと安心。