ラストオーダー ~そのバーには、なくした想い出が訪れる(★★★★☆)

東京郊外、とある駅前にある「ツギハギ横丁」。戦後闇市の面影を残す一角に、バー「間」はひっそり佇んでいた。店主の波佐間とアルバイトの由比が営むその店には、毎週水曜午前一時に「特別な客」が訪れる。生者と死者が交差するこの店で、死者たちは伝えられなかった想いをグラスに紡ぐのだ。そんな日々の中、波佐間もまた伝えられない想いを胸に秘めていて…というお話。
ふんわりとした不思議な雰囲気の作品。2人の作ったランチ食べたい。無愛想でクールな一臣と明るくてお調子者の由比のバランスがよくて良いコンビでした。亡くなった人に出会える、ということで私も亡くなった祖父母に会いたいなと思ってしんみりしてしまいました。
由比については一番最初の文章の時点で嫌な予感がしたけど、やっぱりそうか〓という感じ。些細な喧嘩から大切な幼馴染みがあんなことになってしまえば落ち込んでも仕方ないよな…。普段は由比にそっけない一臣だけど、本当は精神的にすごく支えてもらってたんだろうなぁ。最後の「………頼む。消えるなよ。」が切ない。由比が現実世界にとどまっている原理は黄泉戸喫と一緒ですね。一臣が立ち直る日=由比が消える日、になるといいけど。現時点ではまだ先の様子。