難事件カフェ2(★★★★★)

難事件カフェ2 焙煎推理 (光文社文庫 に 22-5)
■あらすじ
隠れ家的喫茶店プリエールに県警秘書室の直ちゃんが持ち込んだのは、企業の御曹司が殺害された事件。事件発生時に一緒に別荘にいた友人三人の犯行は否定され、外部犯の可能性も否定されてしまう。犯人がいない(⁉)殺人事件を、店主の季(みのる)と、元警官でパティシエ役の弟・智(さとる)はどう解くか(「?第1話」)スイーツが彩る奇妙な三つの事件を、名探偵の兄弟が華麗に解決に導く。

■感想
久しぶりのこの兄弟に出会えて嬉しいです。相変わらず兄弟+直井の会話が面白い、特に直井の時折する過激な発言がツボだったりする。第1話は犯人の執念を感じ、被害者達の傲慢さに最初は気付けなかったのが無念。それだけに最後の展開が爽快だった。第3話は小学生の真広君が大健闘、本当に毎日地獄だったろうによく頑張った!
時折視点になる「わたし」が自分に似ている部分が多かっただけにゾッとした。最後に明かされた智の退職理由に心配になったけど季がいるから大丈夫だよね。本当に仲良し兄弟で智がお兄ちゃん大好きなのが伝わってくるし、智の「兄ちゃん」呼びにキュンときました。ぜひまた続きが読みたいです。

ひきこまり吸血姫の悶々2 (★★★★☆)

ひきこまり吸血姫の悶々2 (GA文庫)
■あらすじ
「ごめん。お前、誰だっけ」?コマリが意図せず煽ってしまったのは七紅天大将軍の一人、フレーテ・マスカレール。これがきっかけで事態はどんどんエスカレートし、ついに将軍同士が覇を競う「七紅天闘争」にまで大発展してしまう!敵となる将軍どもは手ごわいヤツばかり……かと思いきや、コマリは新たに七紅天となった少女、サクナと打ち解ける。文学趣味で、コマリのことを「姉」と慕うサクナは、コマリ以上に内気で気弱な子だった。一方その頃、宮廷内では要人暗殺が横行。さらにはヴィルがサクナに微嫉妬したりと、コマリの周囲は大さわぎ。コマリの平穏な引きこもりライフは、はたしてどうなる!?

■感想
シリーズ2冊目。今回はコマリと同じくなりたくないのに七紅天大将軍になってしまったサクナがメイン。大人しそうな顔して意外に策士で根性あるし、無自覚に強いし、結構なストーカー気質で見た目と違って色々な意味で底知れぬキャラでした。彼女がずっと抱えていた闇をコマリが吹き飛ばしてくれたのは正に爽快
な展開。覚醒したコマリは本当に凛々しくて素敵、コマリにもサクナという友人が出来て良かったです。ヘルデウスさん良い人だった、疑いそうになってごめんよ。
そして段々と侵食していく「逆さ月」の存在、コマリめっちゃ狙われてるしエピローグが不穏ですな。ヴィルに毒殺された上にコマリに圧倒的な大差で敗北したデルピュネーが哀れ(笑)

アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を(★★★★☆)

アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を (電撃文庫)
■あらすじ
“主人公”募集。そんな怪しいバイト募集の張り紙に惹かれ、謎の美女が主を務める洋館を訪れた平凡な高校生の輝馬。雇い主である彼女に促され手にしたのは、読んだ人間を眠りに誘い本の世界に引きずり込むという特別な本“アンフィニシュトの書”だった。物語の世界で憧れの主人公になり、可憐なヒロインと出会った輝馬。しかしある夜、彼女は殺されてしまい―。主人公だけが物語の結末を幸せに導けることを知った輝馬は、彼女を救うべく再び本の世界へ。はたして彼は物語の謎を解き、ヒロインを幸せにできるのか?

■感想
バッドエンドの物語をハッピーエンドにする為に主人公・輝馬は物語の世界に入り込んで死んでしまうヒロインを救うことに。物語のヒロインであるアリアと接する内に段々と彼女に惹かれていく輝馬。アリアが目の前で殺されたり、自分が死んでしまったり等ショッキングなことがあっても最後までアリアを幸せにしようとした輝馬のガッツに拍手。
繰り返されていくバッドエンドのループで分かった悲しい真実、彼女にとっては救いともいえるハッピーエンドでも輝馬にとってはほろ苦いビターエンド。泣く輝馬を慰める絵色さんを見てはじめてこの人を大人だと思った(笑)誰かにとってはハッピーエンドでも違う誰かにとってはバッドエンドかもしれない、とても面白かったです。私は断然ハッピーエンド派です。

ワーウルフになった俺は意思疎通ができないと思われている 1(★★★★☆)

ワーウルフになった俺は意思疎通ができないと思われている 1 (HJ文庫)
■あらすじ
異世界ワーウルフに転生⇒美少女との主従生活!?ある日、目覚めたら異世界ワーウルフに転生していた竜之介。しかもワーウルフは人間はおろか他の魔物とも意思疎通ができない種族だった!
超ハードモードな状況に戸惑う竜之介だが――「……わたしと一緒に、テイムロイヤル、出てほしい」テイマーを目指す美しいお嬢様・エフデを救ったことで、彼女のパートナーとして生活することに!
しかしこのお嬢様、名家出身のはずが貧乏でバイト三昧と、何やら訳ありのご様子……!?言葉はなくても心でつながる異世界ワーウルフ転生譚、開幕!

■感想
異世界ワーウルフに転生し、テイマーを目指すヒロインと絆を深めていくお話。他者と意志疎通できないのは辛いけどエフデが何となく理解してくれてるからそんなに悲愴感はない。表向きはお嬢様だけど裏では世知辛い事情があってお金が必要なエフデ、そりゃああんな変態と結婚するとか地獄だわ。貧乏なのに竜之助とエフデの生活はどこか楽しそうで微笑ましい。
パリピとむかりんのエピソードも良かった。竜之介の万能さやそれを狙う組織の存在が気になる。次は学園編なのかな?あとがきに哀愁が漂っていてとりあえず2巻出たら買うよ!とだけいっておく。

悪役令嬢に転生したけど、破局したはずのカタブツ王太子に溺愛されてます!?(★★★☆☆)

悪役令嬢に転生したけど、破局したはずのカタブツ王太子に溺愛されてます!? (蜜猫文庫)
■あらすじ
地味なOLから乙女ゲーム世界の悪役令嬢に転生したイザベラは、努力も空しくゲームヒロインに心を移した王太子に婚約破棄を言い渡された後、不審な男に拉致され娼館に売られてしまう。初めての客は顔をマスクで隠した男、ウィリアムだった。高貴な身分らしい彼はイザベラをからかいつつも優しく触れてくる。「試してみないか。きっと気持ち良くなれるはずだ」初めての快感に溺れた夜。ウィリアムはその後もイザベラを独占して!?

■感想
久しぶりに少女小説でR18を読みました。悪役令嬢もので婚約者だった王太子から婚約破棄を言い渡されるところからスタート。あれよあれよ言う間に誘拐されて身売りされた上に娼婦として娼館で働くことに。そこでまさかの王太子と出会って身体だけではなく心も通わせていく。
王道展開で分かりやすいストーリーなのでサクッと読みたい方にオススメ。婚約時代は互いに不器用で分かり合おうとしなかったイザベラ達、立場を変えてきちんとお互いを知ることで歩み寄っていく過程が微笑ましかったです。ウィリアムの行動が都合良すぎな気もしますが、イザベラが幸せならまぁいいか。

王女殿下はお怒りのようです 4.交錯する記憶(★★★★☆)

王女殿下はお怒りのようです 4.交錯する記憶 (オーバーラップ文庫)
■あらすじ
屋敷を襲った謎の青年と黒い霧の関連を知るため、レティシエルはジークと王立図書館へ向かう。秘書庫を訪れ、ついに黒い霧との関係がある力の正体に近づいたかと思った矢先、レティシエルは不可解なメッセージを発見し……?なかなか答えにたどり着けない中、レティシエルの元に、公爵家の領地内で発生した暴動の報せが届く。その中心がニコルの故郷近くと知ったレティシエルは、原因である公爵家の圧政を終わらせ、暴動を収束させるべく領地へ赴いた。そこに現れたのは公爵家の長男・フリード。黒い霧を操り、民草を道具と切り捨て蔑ろにするフリードを、王女殿下が断罪する――!

■感想
シリーズ4冊目にして第一部完結。屋敷を襲った謎の青年や黒い霧、そしてレティシエルとドロッセルの境遇など解明されていない伏線が盛り沢山な上に国名も沢山出てきたのでそろそろ整理しないとついていけなくなるかも。
公爵家で起きた暴動がきっかけでクリスタとの距離は少し近づいた様子。「私は私の正義、あなたはあなたの正義を貫いた」が格好良かったですね。
そして第一王女アレクシアの存在もキーポイント、結局のところ誰が犯人なのか明かされず。クリスタのことを可愛がってるとはいえサリーニャは卑怯な奴にしか思えないんだが…。精霊との取引にはきっと応じるのかな?次回はジークの活躍ももう少しほしいところ。

平安後宮の薄紅姫 物語愛でる女房と晴明の孫(★★★★☆)

平安後宮の薄紅姫 物語愛でる女房と晴明の孫 (富士見L文庫)
■あらすじ
「平穏に読書したいだけなのに!」読書中毒の女房が宮廷の怪異と謎に挑む。怪異や難事件の最後の駆け込み寺・薄紅の姫。彼女に依頼が成立するのは、物語にまつわる品が差し出されたときだけ。薄紅は重度の物語中毒で、特に『源氏物語』には目がないというのだ。――この異名が広がったのは、晴明の孫である若き陰陽師・奉親のせい。訪ねて来た彼に早く帰ってほしい一心で、物語知識を駆使し怪異の謎を解いたのが悪かった。薄紅を使えると判断した奉親は、言葉巧みにたびたび彼女をモノで釣っては謎解きにかり出すことに。「また相談ですか? 私は読書に集中したいのでございます!」

■感想
源氏物語大好きな女房・薄紅と安倍晴明の孫・奉親のコンビでおくる源氏物語になぞらえたライトミステリ。薄紅の源氏物語への熱が凄くて、大学では日本文学科だったので共感できる部分が多かった。菅侍従と薄紅との2つの顔を持ちながら好きなことにも没頭できる彼女は個人的に現代でいう理想的なキャリアウーマンのように思えた、羨ましい。
お気に入りは第三章、普段はクールな奉親があんな風にしみじみと大切な人を語る展開はずるいですよ。続きがあるなら二人が兄弟っぽく会話してる場面とか読んでニヤニヤしたい。薄紅と奉親のコンビはもちろんのこと前作品の為頼と光栄コンビの続きも読みたくなった。