うちの中学二年の弟が(★★★★☆)

うちの中学二年の弟が (集英社オレンジ文庫)
■あらすじ
都下某所に広大な敷地を有する、私立鷺ノ院学園高等科一年生である鷺沼湖子は、同じ学校の中等科二年生の弟・六区に振り回される日々を送っている。六区はそんじょそこらの女子よりもずっと可憐なうえに、その美貌を自覚的に武器にする、やることなすこと予測がつかない性格なのだ。その日も、中等科の校舎を使って撮影されるという映画のエキストラに参加する六区に付き添うことになったのだが、現場ではヒロイン役の女優・緋田マドカが行方不明になっていた。六区は突然マドカのマネージャーに「緋田マドカさんの居場所、知りたいですか?」などと話しかけてしまい?常識的で良識派を自負する湖子の日常は、今日も奇想天外な弟の行動にかき乱されて……。

■感想
女装好きな美少年とそれに振り回される平凡な姉の日常を描いたドタバタコメディ。好奇心旺盛で自分の女装で他人をからかうのが好きな六区、そんな弟に呆れつつも放っておけない湖子という二人の関係性が好きでした。なんだかんだいって湖子はブラコンだし、六区も間違いなくシスコンだと思う。というか六区の場合湖子が自分に構ってくれるからというのも面倒ごとに首を突っ込む理由の一つだろうなぁと。
芸能人や先生や先輩の恋の手助けをしたりと六区は大活躍。異世界の話はハチャメチャ過ぎて面白かった、六区の「僕は、ココちゃんを守るために、男の子に生まれたんだからね」には瞬殺でしたよ。ジャパネスクの話も六区逹に物凄く共感しました、懐かしい…!

薬屋のひとりごと9(★★★★☆)

薬屋のひとりごと9 (ヒーロー文庫)
■あらすじ
壬氏の一世一代の行動の結果、とんでもない秘密を共有することとなってしまった猫猫。折しも後宮は年末年始の休暇に入る時期。実家に帰りたくない姚は、猫猫の家に泊まりたいと言い出した。とはいえお嬢様を花街に連れていくわけにもいかず、姚と燕燕は紹介された羅半の家に泊まることになる。一方、口外できない怪我を負った壬氏のために、猫猫は秘密裏に壬氏のもとに通わなくてはならなかった。できる範囲で治療を施していくが、医官付き官女という曖昧な立場に悩まされる。壬氏が今後さらに怪我を負わないとも限らないが、医官にはなれない猫猫は医術を学ぶことはできない。そこで、羅門に医術の教えを乞おうと決めるのだが―。

■感想
シリーズ9冊目。前回の壬氏の思いがけない行動により秘密裏に壬氏の元へ通わなくてはいけなくなった猫猫。医官付き官女という微妙な立場に悩みながらも着実に技術を学び更に壬氏たちと共に西都へ向かうことに。初登場の雀さんが強烈過ぎて全部そっちに持っていかれました、なんてマイペースな人だ…。高順が胃痛起こしてそう(笑)
壬氏の優しい性格を自分の尊敬する羅門と重ねてしまう猫猫、最後の猫猫の行動からして大分壬氏に絆されていることが分かります。面倒ごとを嫌う猫猫がどこまで壬氏についていくのか。西都も政治的に一筋縄ではいかなそうだし問題は山積み、続きが待ち遠しいです。

二条陰陽寮の少年たち はみだし響と呪われた狗神(★★★★☆)

二条陰陽寮の少年たち はみだし響と呪われた狗神 (富士見L文庫)
■あらすじ
幼い頃から人とは違う、不思議なものが見えた響。その体質が原因で中学に居られなくなり、胡散臭い叔父の手引きで転校させられる。京都二条の街中にある寄宿学校“二条寮”。そこは退魔の担い手を育てる、現代の陰陽寮だった。戸惑いながらも入寮した響は、はみだし者として名を馳せるルームメイトと出会う。世話焼きな司に、悪巧み上手な幸介、物知りで人見知りな千尋。前途多難な予感は的中し、さっそく四人は怪奇事件に首を突っ込んでいき……!?落ちこぼれの少年たちが、京都を舞台に怪異を伏せる!

■感想
幼い頃から人ならざるものが見えて見鬼の才がある響、叔父の勧めで陰陽寮に入ることに。個性豊かなルームメイト逹と共に遭遇した怪異に立ち向かっていく。なかなか力が開花しない自分に悪戦苦闘しながらも仲間に助けられながら成長していく響、特に例の敵キャラと対峙した時が格好良かったです。
はみだし者といわれつつも千尋も幸介も面倒見のいい先輩だし、司も過保護だけど優しいし響が仲間に恵まれて良かった。墨の苦しみを理解した上でああいう結末を迎えたのにもグッときた。敵との因縁もまだ続きそうだしぜひ続きを…!

倫敦花幻譚(1)~公爵家のプラントハンターと七色のチューリップ~(★★★★☆)

倫敦花幻譚(1)~公爵家のプラントハンターと七色のチューリップ~ (ウィングス・ノヴェル)
■あらすじ
十九世紀半ば、ヴィクトリア新女王が戴冠したばかりの大英帝国新時代。植物採取の旅を終えたネイサン・ブルーは数年ぶりに故郷ロンドンへと戻ってきた。帰国してすぐ、ネイサンは幼馴染みで出資者のロンダール公に巻き込まれる形で、七色に咲くという幻のチューリップを探すよう、女王直々に命じられる。そんな花は存在しないと思いつつ、彼らはかつての目撃情報を頼りにカンタベリーを訪れるが…?比類なき公爵家のプラントハンターと奇蹟の花々をめぐる物語、ここに開幕!!

■感想
植物学者のネイサンと植物を愛する公爵・ウィリアムは女王の要望により少ない情報を元に幻のチューリップを探すことに。あとがきにもある通り篠原ワールド全開の作品。ミステリ風味かと思いきやオチが思いっきりファンタジーで拍子抜けしました。幻想的な締めくくりでこれはこれで好きですけどね。
幼馴染コンビのやり取りって気心がしれている感じで好きです。ネイサンの美貌に執着するウィリアムが少し面白キャラになっている(笑)ストーリーの鍵となるネイサンの助手・レベリックはなんかぽわわーんとしている不思議系キャラでした。新刊も出るようで続きも楽しみです。

幽霊たちの不在証明(★★★★☆)

幽霊たちの不在証明 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
■あらすじ
羊毛高校文化祭の二日目の午後、二年二組のお化け屋敷で、首吊り幽霊に扮していたクラス委員・旭川明日葉の絞殺死体が発見された。彼女に想いを寄せていた「僕」こと閑寺尚は、打ちひしがれながらもその仇を討つべく、クラスメイトの甲森瑠璃子とともに調査に乗り出す。幽霊役の彼女はいつ本物の死体になったのか。分刻みの“時間当て”で犯人を絞り込む本格フーダニット・パズラーの傑作!2020年第18回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。

■感想
文化祭のお化け屋敷で首吊り幽霊に扮していた女子生徒の絞殺死体が見つかり、被害者に思いを寄せていた尚はクラスメイトの甲森と共に事件解決に乗り込む。あらすじの通り分刻みで展開されていく真相に目が離せなくてあっという間に読了。ほろ苦い学園ミステリでした。探偵役である甲森の計画は見事に頓挫して無念、ぼっちなんてこんなもんよ。
キャラ同士の会話も漫才みたいで面白かったです。個人的に尚とざくろの会話がお気に入り。尚と明日葉はもしかして両思い?と思いましたがそんなに都合よくはいかないもんですね。犯人の犯行理由は自分勝手で同情される理由が分からん。続きがあるなら読んでみたいです。

俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件2(★★★★☆)

俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件 ライトノベル 1-2巻セット
■あらすじ
自堕落な一人暮らしを送る俺・常盤木翔和の部屋には、学年一の美少女・若宮凛が入り浸っている。放課後限定で始まったこの関係も夏休みを迎え―朝はうちに来る凛に起こしてもらい、バイトから帰ると彼女が待っている、“ずっと放課後”な日々になっていた!ご飯を食べるのも、宿題をするのも、息抜きのゲームをするのも二人一緒。「今晩、お世話になってもいいですか?」ついには、凛がうちに泊まることになり!?プールに、そして夏祭りに…誰にも邪魔されない二人っきりの同棲生活に、凛の好きアピールが加速する!!WEBで圧倒的人気の甘々ラブコメカクヨムブコメ年間ランキング1位!書き下ろし多数の書籍版第2巻!

■感想
シリーズ2冊目。夏休みに突入してイベントが盛り沢山、翔和はプールや約束していた夏祭りに付き合うことに。同棲やデートまでしているのに未だに付き合っていないとは…。凛のアピールが物凄く積極的なのにもかかわらず翔和が受身過ぎなのには少し残念、じれじれな恋模様もいいけど凛を見習ってもう少し積極的でもいいのよ。翔和にもトラウマ的なものがあるみたいなのでそれが早く解消されればなと思います。
それに比べて軽薄そうにみえて翔和逹のことを考えてさりげなく色々とサポートする健一がイケメンでした。凛の母親も登場、とてもキャラが濃かったです(笑)次こそは翔和から歩み寄ってほしいなと思います。

事故物件7日間監視リポート(★★★★☆)

事故物件7日間監視リポート (角川ホラー文庫)
■あらすじ
リサーチ会社を営む穂柄は、あるマンションの一室の住み込み調査を依頼される。そこは、7年前に妊婦が凄絶な自殺を遂げた事故物件で、事件後なぜか隣人たちも次々と退去し、現在はその階だけ無人の状態だという。期間は1週間。穂柄はバイトの優馬に部屋で寝泊まりさせ、その様子を定点カメラで管理人室から監視することに。だが、そこで起きることは穂柄の理解を超えていて…。あなたの予想を裏切る、究極の超常ホラー。

■感想
友人からの依頼で事故物件を調査することになった穂柄、バイトの優馬と共に調査に乗り出すが不可解なことが次々と起きていく。調査の期限は1週間、日々が過ぎていくにつれて新事実が発覚して緊迫感が増していく。「妊娠」がキーワードで押入は母胎?あの子供の境遇を知った時ゾッとした。
正に「触らぬ神に祟りなし」。でも究極的にいえば穂柄の友人が事故物件に泊まっていた時点で穂柄のほの暗い未来は決まってたんですよね…、やっぱり穂柄は浮気されてるのかな。そうなると優馬の今後も心配です。どのような経緯を経てこんな場所になってしまったのだろうか。結末もぼんやりとしているので良い意味で後味が悪い。